2003 Fiscal Year Annual Research Report
現代市民社会論における親密圏の意義と規範構造からの分析-DVを素材として
Project/Area Number |
15530014
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Research Institution | Aichi Gakusen University |
Principal Investigator |
井上 匡子 愛知学泉大学, コミュニティ政策学部, 助教授 (10222291)
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Keywords | フェミニズム / 現代市民社会論 / ドメステイックバイオレンス / 親密圏 / 現代正義論 |
Research Abstract |
研究代表者がこれまで主たる対象としてきた18世紀法思想・政治思想を中心に、「親密圏」という観念・概念の成立の思想的経緯・理念上の整理を行った。特に、今年度は近代市民社会論と現代市民社会論双方における「親密圏」の位置づけの違いを明らかにする。また、親密圏と公共圏の接触面の問題として、専門家と専門知の位置づけに注目し、両スフェア(圏)の交錯状況に関して考察した。この両スフェアの交錯という観点は、本研究の(2)(3)に共通する視座とする。 (2)現代市民社会論からの理論研究 現代市民社会論と規範的正義論という共に社会の捉え方をめぐる理論を比較した上で、それぞれに対するフェミニズムが与えた影響の検証を通して、「親密圏」の現代的な意義を、ネガティヴな側面も含めて、考察した。 また、親密圏と公共圏の交錯の状況を示すものとして、非監護親の面接交渉権を取り上げ、従来の権利論的構成(権利対子どもの最善の福祉という枠組み)とは違う、親密圏への浸食と、親密圏の確立のための作用というアンビバレンツな構造をもつものとして整理した。これは、(3)のドメスティックバイオレンスの事例と深く関連する問題である。 (3)ドメスティク・バイオレンスに関する研究 近年法整備がおこなわれている日本の制度を検証した。特に今年度は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の改正が前倒しの形で進み、その論点整理などの作業についても、検討の対象とした。
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