2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530034
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小畑 郁 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40194617)
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Keywords | 近代国際法 / 外国人の地位 / 外交的保護 |
Research Abstract |
今年度は、1826年イギリス/メキシコ通商条約に登場した「完全な保護」条項の成立過程について、詳細に跡づける作業を行った。そのため、イギリス国立公文書館において、外務省文書を調査・研究した。それにこれまでの研究の蓄積を踏まえ、その成果は、すでに「近代国際法における外国人の身体・財産の一般的・抽象的保護観念の登場」という論文としてまとめられた。これは、2006年6月頃刊行予定の安藤仁介先生古稀記念『21世紀の国際法』に掲載されるべく現在校正中である。そこでは、(1)司法運営についての内国民待遇が一般化するのは、1824年の米/コロンビア条約以降であること、(2)この条約中の「特別の保護」および上記「完全な保護」条項は、身体・財産の保護を包括的に謳っているが、司法手続を通じた保護が専ら念頭におかれていたこと、(3)このように限定的な保障ですら一般国際法の反映ともそれになるべきものとも捉えられていなかったことが明らかにされた。 この論文執筆と密接に結びついて、19世紀の条約について、この「完全な保護」条項を含むかどうか、網羅的調査を開始している。 さらに、近代国際法における外国人の身体・財産の保護制度としての外交的保護について、歴史的背景を踏まえ、現在の到達点を簡潔に記述した項目を含む国際法学会編『国際関係法辞典(三省堂)』が刊行された。これは、実際には本研究第1年度の2003年12月に執筆したものである。 また、外交的保護の国家的性格にかかわる現代的問題として、日本の戦争処理諸条約における請求権放棄を取り扱った論文を準備しており、その内容を2005年7月17日に行われた(財)世界人権問題研究センターにおける研究会において報告した。
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