2004 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス社会法における人権論の展開に関する理論的・比較法的研究
Project/Area Number |
15530043
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
有田 謙司 山口大学, 経済学部, 教授 (50232062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 達朗 島根大学, 法務研究科, 教授 (10209059)
鈴木 眞澄 龍谷大学, 法学部, 教授 (30314793)
柳井 健一 山口大学, 経済学部, 助教授 (30304471)
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Keywords | 人権法 / 言論の自由 / 内部告発者保護法制 / 雇用契約 |
Research Abstract |
平成16年度は、昨年度に引き続き、本研究の出発点となっている、1998年人権法についての理論的研究を進め、それと同時に、昨年度の成果を踏まえ、人権法が労働法に及ぼしている影響について研究を進めた。 特に、公益通報者保護法が制定され、わが国においても議論が盛んになっている、内部告発者保護法制について、雇用における言論の自由の保障という観点から、人権法の労働法への影響のひとつの側面として、また、人権を基底に据えた労働法理論が展開される中での各論的テーマのひとつとして、その意義と限界について研究した。その際、イギリスにおいてこの分野における第一人者の労働法学者である、ルーシー・ヴィッカーズ博士の協力を得て、論文を執筆して頂き、研究代表者がそれを訳出し、解説を加えて公表した。この研究によって、雇用における言論の自由は、その部分的な保障としての内部告発に対する保護は十分に認められるものの、より一般的な権利のレベルとしては表現の自由・言論の自由は未だ十分に保障されているとはいえないことが明らかにされた。 まだ公表には至っていないが、研究代表者は、上記の研究成果を踏まえ、そうした言論の自由との衝突が法的紛争として現れる雇用契約上の被用者の義務をめぐる判例とこの問題に関する学説の検討を次に進めた。このような視点から、イギリスにおける雇用契約に関する学説の議論状況の分析を進める中で、雇用契約の規制根拠をめぐる議論において人権の尊重をその正当化根拠とする学説の展開がみられ、人権法の影響を雇用契約論の中にも確認することができた。 研究分担者の各人は、それぞれ、EU憲法条約草案の分析、イギリス人権法の各論的な研究、イギリス市民権に関する憲法学的研究を進めた。
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Research Products
(1 results)