2004 Fiscal Year Annual Research Report
労働者災害補償保険における負担と給付の定量分析と法政策
Project/Area Number |
15530044
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
品田 充儀 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10211955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉本 幹男 神戸市外国語大学, 外国語学部, 助教授 (90215054)
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Keywords | 労災補償 / 労災保険 / カナダ / アメリカ / モラルハザード / 保険財政 / 精神疾患 / 再雇用 |
Research Abstract |
本年度は、北米労災補償法について、カナダ・トロント大学経営学部の教授2人を交えて、本格的な分析を行ってきた。研究成果は、まもなく2部6章からなる著書(「労災補償とモラルハザード-北米労災補償制度の法・経済分析-」)として出版されることとなる。第1部では、北米の労災補償制度の現状を分析することを主眼とした。北米の労災補償制度は州法のため調査が困難という背景もあり、これまでは断片的な研究しか行われていなかった。特に、保険経済の側面からの研究は、民間保険者と公的保険者が交錯するという複雑な構造もあり、全く手がつけられていない状況にあった。しかし、わが国においても労災保険の民営化が議論され始めるなか、アメリカの経験は極めて重要な意味をもつといえる。第1部では、北米労災補償制度の特徴と保険財政の状態について日本人が研究・執筆を担当し、日本人では把握しにくい保険者理論(公的保険者か民間保険者かという議論)についてカナダの研究者に執筆をしてもらった。第2部では、労災保険財政とモラルバザードというテーマで、同法制度が有する問題点について分析を行った。保険料や保険給付が労使にいかなる意味を持つのか、近年急速に拡大している慢性疾患・精神疾患への補償が制度全体に与える影響はどうか、さらには労災補償制度の本来的目的であるはずの被災労働者の職場復帰はどのように実現されうるのかなど、北米の経験をもとに詳細に研究・分析した。第2部においても、日本人には把握しにくい北米(特にカナダ)の実態については、カナダの2人の研究者に執筆してもらっている。近年、外国の研究者との共同研究は珍しくないが、本研究ほどテーマについて相互に状況握に努め、綿密な打ち合わせの下に結果(著書)に結びつけた例は少ないと自負する。
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Research Products
(4 results)