2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530046
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
土田 和博 早稲田大学, 法学部, 教授 (60163820)
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Keywords | 垂直的価格制限 / 垂直的非価格制限 / 店舗別契約制 / 独占禁止法 / 公正競争阻害性 |
Research Abstract |
本年度は、次の2つの課題について検討を行った。1つは、日本の審判決に現れた垂直的制限の統計的分析である。不公正な取引方法の一般指定別の分類(排他条件付取引、再販売価格維持行為、不当な拘束条件付取引、取引上の優越的地位の濫用、取引拒絶など)、垂直的価格制限と非価格制限の区分、垂直的非価格制限に関して地域制限、顧客制限、販売方法などの区別と若干の分析を行った。 他の一つは、現在進行中の訴訟において問題となっている非価格制限の1類型である店舗別契約制の公正競争阻害性について検討した。小売業者の店舗ごとに契約を締結し、商品は当事者欄に記載された店舗においてのみ販売するものとする店舗別契約制の独禁法上の評価について1991年に公表された公取委・流通取引慣行ガイドラインを参考に考えてみると以下のとおりである。ガイドラインは、流通業者の取引先の制限のうち帳合取引の義務付け、および仲間取引の禁止にかんしては、「当該商品の価格が維持されるおそれ」がある場合に、また安売り業者への販売禁止に関しては、それ自体として不公正な取引方法に該当するとしている。流通業者の取引先制限は、個々の販売業者の外部取引(別の販売業者に対する取引)を制限するものであるのに対し、店舗別契約制は、メーカーが小売業者に対し、特定の販売店舗における販売のみを許容し、小売業者が自己の別の店舗に商品を移動させた上、当該店舗において販売することを禁止するという小売業者の内部的商品移転を禁止するものであるから、制限の程度としては店舗別契約制の方が著しい。そうだとすれば、洗通取引慣行ガイドラインを参考にして考えれば、特に安売りの拡大をおそれて販売店舗を限定する店舗別契約制は、原則として不公正な取引方法に該当するといえよう。
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