2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530046
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
土田 和博 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (60163820)
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Keywords | 垂直的価格制限 / 垂直的非価格制限 / 店舗別契約制 / 独占禁止法 / 公正競争阻害性 / 不公正な取引方法 |
Research Abstract |
平成17年度は、垂直的制限の規制に最も関係に深い不公正な取引方法について、その制定過程にさかのぼって検討を加えた。それによれば、連合国最高司令官総司令部の経済科学局反トラストカルテル課のカイム判事が、1946年8月に日本側に示したいわゆるカイム案においては、第8節、第9節、第10節において、後に不公正な競争方法として結実することになる条文が示されていた。その後、商工省や経済安定本部などによる立法作業を経て、1947年1月に独占禁止準備調査会幹事補佐らによる法案が総司令部に提出されるが、カイムの後任のサルウィンらとの交渉によって1947年3月18日に閣議決定された最終法案にいたるのである。 このプロセスの中で明らかとなった点は以下のとおりである。第1に、原始独禁法における不公正な競争方法の位置づけである。1947年1月の試案は「不当に自己の事業能力を拡張し又は競争者の事業活動を排除し若しくは支配する目的を以て競争手段として」各号に掲げられた方法を用いることを不正な競争方法と定義した。この定義は後に削除されるが、このような性格付けは後にまで残ることとなった(主として私的独占の補完規定)。第2に、不公正な競争方法の違法性基準は、私的独占の違法性基準よりも低い基準(厳格な基準)であることが立法当時において意識されていたと考えられることである。これは当時のアメリカのFTC法5条の基準がシャーマン法2条の基準より低いものと理解されていたことによる。垂直的制限の規制に直接関係する不公正な取引方法の日本における原点は、このようにして形成された。
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Research Products
(1 results)