2004 Fiscal Year Annual Research Report
非営利活動・公益活動を担う団体の組織および法的規制に関する研究
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15530060
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
能見 善久 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (50009841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 久和 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (30009849)
大村 敦志 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (30152250)
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Keywords | 公益法人 / 非営利団体 / 非営利法人 / アソシアシオン / 利益相反 / 結社の自由 / 法人格 / 協同組合 |
Research Abstract |
今年度は、比較法的考察を行った上で、団体活動についての法的枠組み、法的規制のあり方について、総合的な考察を行った。 第1に、フランスにおけるアソシアシオンについて調査研究を行った。フランスにおけるアソシアシオンが規制をあまりうけることなく自由な発展をしていること、しかし、他方で単なるアソシアシオンではある種の非営利活動においては限界が生じていることが分かった。すなわち、活動するために原資が必要な非営利活動においては、その原資をどのように集めるかが問題であり、また、非営利活動に積極的に関わるメンバーの活動への参加意識を高めることも重要である。大村は、フランスにおける育児支援括動の分析を通じて、以上のような指摘をした。 第2に、オランダでは、人口との割合でいうと、非営利活動に参加する者の数が世界でもトップレベルであるが、その原因を考察するために、オランダへ出張し、調査した。オランダでも、はやり非営利活動を促進するという明確な政策を掲げて、団体に対して各種の支援をしている。また、自発的活動を促進するために、規制は最小限にする。主な規制は、一般公衆から寄附を募りたい団体については、団体運営の公正さ、理事や監事による利益相反の禁止については厳格なガイドラインを設けるというものである。しかも、興味深いのは、これは行政による規制ではなく、当該団体が公正な団体であることを示すロゴマークを任意の第三者評価機関が希望団体に交付していることである。この規制団体のガイドラインを充たさないとロゴマークをもらえず、社会から寄附が集まらない。オランダからは、ガバナンスについての考えに関して示唆を得た。 その他、イギリス、アメリカについても調査研究を行ったが、なお、整理中である。 我が国の団体のあり方、およびその規制のあり方についてまとめれば、(1)一方で厳密な意味やの公益的な活動とその周辺的な非営利活動があり、前者については公正さ等を厳格に要求し、後者については活動の自由を促進する政策がとられている。これが1つのモデルとなる。しかし、両者の限界が簡単には線引きできない。そこで、オランダのような社会的に寄附を募りたいか否かという各団体の自律的方針にしたがい、これを希望する団体は一定の基準を満たすことを要求し、広い寄附を要求しない団体には広範な自律を許容する。(2)これまであまり着目されていなかった協同組合型団体の分析が必要になってきた。従来は特別法で限定された範囲でのみ許容される団体類型であったが、これを広く認めることの意味を検討する必要が生じた。ここには団体類型の見直しを迫る問題がある。
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