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2005 Fiscal Year Annual Research Report

EU統合における地方自治体の役割の研究-バルカン半島・黒海周辺への拡大をみすえて

Research Project

Project/Area Number 15530099
Research InstitutionHirosaki University

Principal Investigator

柑本 英雄  弘前大学, 人文学部, 助教授 (00308230)

Keywordsマルチレベルガバナンス / バルカン半島 / INTERREG / 地方自治体 / 統合拡大
Research Abstract

本研究では、EUの東方拡大過程において、EU域と国境を接する加盟準備国の地方自治体が「統合準備の先駆的役割」を果たしていることを明らかにした。具体的には、北海地域・バルト海地域の研究で明らかにした、国境沿いの地方自治体が担う「地域統合の実験的役割」が、バルカン半島と黒海沿岸でも適応されているかを検証した。
本研究では、具体的な学術的分析手法として、これまで地域政策分析枠組みとして有効とされてきた「MLGモデル」の検証を行い、その枠組みとしての短所をMLGモデルの発展型分析枠組みである「越境広域経営モデル」で補強・発展させた。欧州においては、非国家行為体のひとつである地方自治体は、「越境広域」で自らのアイデンティティを変容させ、「国際的行為体」として、法的・財政的資源を国家ネットワークから獲得し、その地域の経営に参加している。ところが、この現実とは裏腹に、分析枠組みとしての「MLGモデル」では、地方自治体は、3層の最下層に埋め込まれた国家のクライアントとしての位置を脱却していない。確かに、国民国家システムから脱国家システムへのシステム転換は、一足飛びに、行われるのではない。しかし、MLGモデルでは、行為体が埋め込まれている層から離れて活動を開始することが認識されておらず、越境広域で始まっているダイナミズムを分析し切れていない。「バーティカル」な連接に中心を置いたMLGモデルを補強し、「ホリゾンタル」な連接をも分析しうる動態的な「越境広域経営モデル」を設定することで、「超国家レベルと自治体レベルの連携が、地域政策領域としての国家領域を崩し始めている」現実を分析できるようになった。越境広域経営モデルで欧州統合を理解することの意義は、EU地域政策の中で実態として最も強力な行為体である国家の力の総量が単純に減少しているのではなく、同時に、欧州地域政策の政策決定量そのものが、超国家レベルと地方レベルで増加している状況を分析しうる点にあった。本研究対象地域の黒海・バルカン半島隣接地域を含むCADSES地域でも、グランドデザイン作りの過程で、地方自治体のアイデンティティの変容が認知できた。

  • Research Products

    (4 results)

All 2005

All Journal Article (2 results) Book (2 results)

  • [Journal Article] 欧州越境広域グランドデザインのジオガバナンス的分析-欧州大陸におけるスペイシャルプランニング「CEMAT基本理念」とEU地域政策における「ESDP」の比較研究2005

    • Author(s)
      柑本英雄
    • Journal Title

      環日本海研究 11

      Pages: 39-62

    • Description
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [Journal Article] EU地域政策分析枠組みとしての「越境広域経営」モデル構築の試み:バルト海グランドデザインVASAB2010とINTERREG II Cを例証とした欧州地域空間再編成の研究2005

    • Author(s)
      柑本英雄
    • Journal Title

      弘前大学人文学部『人文社会論叢』 (社会科学篇) 14

      Pages: 1-37

  • [Book] NorVision:北海沿岸地域の越境広域経営の展望2005

    • Author(s)
      多賀秀敏日本語版監修, 柑本英雄監訳, 田中麻衣, 江口昌樹訳
    • Total Pages
      146
    • Publisher
      新潟県地域総合研究所
  • [Book] 共生と循環のコスモロジー:日本・アジア・ケルトの基層文化への旅(池田雅之編著)2005

    • Author(s)
      柑本英雄(共著)
    • Total Pages
      597
    • Publisher
      成文堂

URL: 

Published: 2007-04-02   Modified: 2016-04-21  

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