2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530108
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
池上 佳助 東海大学, 文学部, 助教授 (40307294)
|
Keywords | 国際関係史 / 冷戦史 / 北極圏 / 勢力圏分轄 / 国際情報交換 / ノルウェー:デンマーク:米国 |
Research Abstract |
1.本研究は4カ年計画の3年目にあたり、過去二年間は、1944年にソ連から提起された、北極海に位置するノルウェー領スヴァールバル諸島の共同軍事防衛問題をノルウェー・ソ連政府間の外交交渉を一次史料に基づいて分析するとともに、同問題を戦後の欧州秩序構想と絡めたソ連による北極圏の勢力圏分割という観点から再検討してきた。本年度は更に分析の視点を米国に置き、米国が戦後の欧州秩序構想において北極圏地域をどのように位置づけていたのかをグリーンランドやアイスランドにおける米軍基地網構築の動きから分析することに努めた。 2.本年度当初計画では、夏期休暇を利用し、アイスランド大学のインギムンダルソン教授(冷戦史、アイスランド・米国関係専門)の研究支援を得て、アイスランド外務省公文書室において米・アイスランド防衛協定締結に至る政府間交渉に関する記録文書の調査、同大学図書館でアイスランドの冷戦史研究の論文・文献収集等を実施する予定であったが、大学の公務の都合(夏季海外語学研修担当教員の緊急入院による引率代行)により延期を余儀なくされ、年度末に再度日程調整に努めたが、同教授が長期国外出張で不在となることが判明した。アイスランド語という特殊言語の事情もあり、とりわけ外交文書の検索・閲覧では同教授の支援が不可欠であったため、やむを得ず本年度の調査は断念し、改めて来年度に実施することにした。このため本年度は米国務省の公刊文書(FRUS)やインギムンダルソン教授の好意により入手したアイスランド側の英語文献資料(アイスランドの冷戦研究史論文・対米関係論文、当時の政府要人の回想録等)の読解・分析を中心に研究を進めた。この結果、北極圏における米軍基地確保の動きは、欧州「中心」部の冷戦激化とともに、米政府が北極圏を次第に自国の安全保障に重大な影響を及ぼす地域と認識し始め、ソ連の北極圏での勢力圏拡大を牽制する意図があったことが明らかとなった。 3.上記知見について、2005年11月に北海道東海大学で開催された「北欧現代史の再考」と題する研究会において報告を行なった。
|
Research Products
(1 results)