2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530115
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
尾崎 裕之 東北大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (90281956)
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Keywords | ナイト流不確実性 / リスク |
Research Abstract |
科学研究費補助金により、上記研究課題について、以下のことが可能となった。東京大学の西村清彦教授との共同研究により、論文"Search and Knightian Uncertainty"を完成させたが、この論文が正式に掲載予定となった。また、これ以外にも、西村教授との共同研究で4本の共同論文を完成させることができた。いずれもナイト流不確実性に関わる基礎的・応用的な論文である。特に、"Search and Knighian Uncertainty"では、これまでのリスクによる不確実性の捉え方では、リスクの増大が職探しの期間の長期化を含意する一方で、リスクをナイト流不確実性(これまでのリスクによる分析と異なり、不確実性を確率分布の集合で捉える)で表現すると、これの増大は職探しの期間は短縮し、人々はより早く定職につこうとする。これなどは、不確実性が高まると、定職に付き、不確実性を解消しようとする人々の行動の理論的モデルと言えよう。また、4本のうち2本は、ナイト流不確実性の表現に関わる公理化の論文であり、人々のアクト(選択肢)間の選好順序についての公理から、ナイト流不確実性の表現を導くものである。また、他の1本は、アメリカン・オプションの価格についてのものであり、ナイト流不確実性の増大がオプションの価値を下げる一方で、オプションを行使するタイミングは遅くなるという結果を得た。最後の1本は、学習についてのものである。我々の常識では、学習することによって、より正しい確率分布に近づいていくが、ナイト流不確実性が存在するときには、学習により、不確実性の程度が大きくなるというパラドクシカルな結果を示した。
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Research Products
(1 results)