2006 Fiscal Year Annual Research Report
国内市場構造と貿易戦略が持つ経済厚生や成長への影響の分析
Project/Area Number |
15530126
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
矢野 誠 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (30191175)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出井 文男 神戸大学, 経営学部, 教授 (90093541)
白井 義昌 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (00235730)
|
Keywords | 競争政策 / 国際貿易 / ネットワーク外部性 / 需要シフト / ダンピング / 国際金融 / 資金市場 / 交易条件効果 |
Research Abstract |
本研究では,「国内市場構造と貿易戦略が持つ経済厚生や成長への影響の分析」というタイトルが示すように,一国内の市場構造や経済制度が国際貿易や資本形成などに及ぼす影響の理論的・実証的な検討が目指されてきた.1980年代の後半以来,関税や輸入数量規制といった,伝統的な貿易政策が国際的な政治経済問題として取り上げられることは少ない.代わって,国内市場へのアクセスなど、一国の市場構造や制度のあり方が国際的な政治経済の場で取り上げられるようになっている.しかし、一国内の経済制度が貿易に及ぼす影響に焦点を当てた研究はこれまでほとんど行われてきていない.Yano and Dei (2002a, b)やYano (2001)は研究代表者(矢野)と共同研究者の一人(出井)が共有するこうした問題意識に基づくものである.本研究は,競争政策から研究範囲を広げ,一国内の市場構造や制度一般の違いが貿易や経済成長に与える影響を分析することを目指してきた. 本年度はその研究の最後の年として、矢野と出井、矢野と白井の間で新たな研究テーマの検討が行われた。中でも特筆されるべきなのは、矢野と出井によるネットワーク外部性とダンピングの関係に関する研究である。この研究では、ネットワーク外部性と辞書的順序による需要シフトという二つの概念が新たに提示され、そうした要素の導入によって、限界費用より低い価格設定を企業が行う可能性が証明された。また、白井の共同研究では銀行と資金の借り手との契約のあり方が資金市場・製品市場の構造(とくに、競争性)に関係していることが明らかにされた。 さらに,市場制度のあり方の国際金融市場への影響についても分析が加えられた(本領・矢野).ここでは,矢野(2001)が拡張され,矢野が主張した競争抑制政策の貿易黒字効果が二部門モデルでは必ずしも観察されないことが証明された.
|
Research Products
(7 results)