2006 Fiscal Year Annual Research Report
世帯構造の変容が家計消費および生活行動に与える影響の分析
Project/Area Number |
15530141
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Research Institution | SHINSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
舟岡 史雄 信州大学, 経済学部, 教授 (50143962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美添 泰人 青山学院大学, 経営学部, 教授 (80062868)
荒木 万寿夫 青山学院大学, 経営学部, 助教授 (20303050)
近藤 広紀 信州大学, 経済学部, 助教授 (30324221)
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Keywords | 家計消費 / 全国消費実態調査 / 社会生活基本調査 |
Research Abstract |
・バブル崩壊以降、家計消費は低迷から脱却しえない状況が継続している。この間の家計の行動に特徴的に観察されたことは、家計バランスシートの調整である。家計はバブル期までは主に、住宅・土地所得のための負債を平均して毎年10%程度増加させてきたが、近年ではほぼ横バイに推移している。負債を保有する世帯の比率もバブル期を転機として低下している。他方、所得が減少するなかで、貯蓄を増加させている。また低金利傾向のなかで貯蓄に占める預貯金の割合がバブル期以降一貫して高まり、逆に有価証券の割合が低下している。このように家計行動には雇用の先行きや老後に対する不安増大等の心理的な効果が色濃く反映しており、このことがバブル崩壊以降の消費を低迷させた第一の要因であることが明らかとなった。とりわけ、全世帯のなかで大きな構成を占める「団塊の世代」において心理的効果は最も強く現れている。従来、この世代は積極的に消費していた世代であるが、定年を間近に控えての雇用不安や老後の生活設計の揺らぎが消費態度の変更を促すこととなった。この世代における同居比率が低いことや従業者1,000人以上の企業や事業所で最も従業者が減少していることも加速した要因である。 ・生活行動の仕方も大きく変わっている。スポーツ、学習・研究、趣味・娯楽、社会的活動、旅行・行楽等の余暇活動に時間を振り向ける人が増加していて、世帯属性をコントロールすると家計収支と生活時間・行動が高いかかわりを持つことを示唆する結果を得た。残念ながら、『社会生活基本調査』と『全国消費実態調査』の個票データの目的外使用が、統計法制度の改革と重なり事務手続きの完了が見込めず認められなかったため、上記の結果をモデル化して詳細に分析することができなかった。今後の課題となった。
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