2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530142
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
椎名 洋 信州大学, 経済学部, 助教授 (80242709)
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Keywords | 多変量正規分布 / 不変推定量 / 検定の不偏性 / ウィシャート分布 / Zonal多項式 |
Research Abstract |
以下の2つの成果を得た。雑誌に投稿中であるが、プリプリントとして、筆者より入手可能である。 1."On unbiasedness of invariant tests of sphericity" by Yo Sheena, Staff Paper Series 03-03, Faculty of Economics, Shinshu University. 2."Order-Preserving estimators and and an inequality on the integration of zonal polynomial" by Yo Sheena, Staff Paper Series 03-04, Faculty of Economics, Shinshu University. 以下に、それぞれの成果を簡単に紹介する。 1.多変量正規分布の分散共分散行列のSphericityに関する検定の不偏性 多変量正規分布の分散共分散行列が、単位行列に比例的であるという帰無仮説の検定を一般に「Sphericityの検定」と呼ぶ。特に一般のアフィン変換に関して不変な検定が応用上重要であるが、この不変検定が「不偏」である、すなはち検出力が、帰無仮説において最低となることの証明は、長らくされていなかった。今回の研究で、そのことを証明した。技術的には、FKG不等式、あるいはその拡張であるHPKE不等式を用いて、証明しているが、その核は、ウィシャート分布の固有根の比に関する(直交行列群上の不変測度上の)積分に関して成立する不等式の証明である。 2.多変量分布のスケール行列の推定値に関する、順序保持性 多変量分布一般に関して、そのスケール行列(典型的には、正規分布の分散共分散行列)を直交不変な推定量を用いて推定する場合、直交不変推定量の固有根が、対応する母集団行列のそれと同じ順序を保持する方が望ましいという推測がある。より具体的には、合理的な損失関数に関するリスクを考えたとき、順序を保持しない推定量は、必ず順序を保持する推定量に改善できる、つまりリスクを軽減できるという推測がある。この推測の十分条件が、Zonal多項式の積分に関するある不等式で与えられることを、証明したのが今回の成果である。さらに、その不等式が2次元の場合に成立することを証明した。
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