2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530142
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
椎名 洋 信州大学, 経済学部, 教授 (80242709)
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Keywords | 多変量解析 / 標本固有値 / 分散共分散行列 / 損失関数 / シュタイン |
Research Abstract |
1)推定量導出のための数学的な基礎研究 従来の微積分による道具立てでは、証明不可能と思われるいくつかの(推測的)多変量解析の問題に関して、以下の2つの事柄を、教科書・モノグラフ・論文を収集し、理解につとめた。 ア)FKG不等式・・・検定・推定量の不偏性において有効な不等式であるが、その適用条件(特に、積分範囲の直交性・独立性)を拡張できないかについて考えてみた。残念ながら、具体的な成果は得られていない。 イ)微分幾何的アプローチ・・・データの数(n)が無限になった場合の、漸近論ではなく、小標本の世界においても、パラメータの微小変化に応じて、分布がどう変化するかを見るために、有効な方法と思われる。全く、この分野の知識がこれまで無かったので、入門書を紐解いて、基礎的事項を理解中である。 2)ウィシャート分布の標本固有根の比 ア)標本固有根の比と母集団固有根の比が連動して動く事に関しては、研究初年度より、継続して研究中であり、昨年度、一定の成果が得られたものをJMVAに投稿し、アクセプトされたが、公刊前に証明の過ちに気づき、現在も修正中であるが、まだ完全な証明は得られていない。 イ)全標本固有根の和の中に占める各固有根の割合(寄与率)に関して、古典的推定量を、シュタイン修正をほどこすことで、よりよい推定量に改善できることを発見し、現在、専門雑誌への投稿準備中である。 ウ)東京大学の竹村教授と共に、母集団の固有根の比が無限に拡散した場合に、標本固有根の比の分布がどうなるかを従来より、研究してきたが、その自然な延長として、個々の固有根の拡散ではなく、ブロックワイズに拡散した場合の漸近論を開発中である。これも、一定の成果が得られたので、専門雑誌への投稿準備中である。
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