Research Abstract |
本年度は中国のWTO加盟に象徴されるように,韓国,タイ,フィリピン,インドネシアなど東アジアにおいて自由貿易協定(FTA)締結の動きが加速されているし,日本とメキシコの間で,FTAが締結され,企業立地のミクロ的な分析を踏まえて、中国を含む東アジアにおける海外直接投資の動向が、地域連携によってどのような影響を受けるのか,自由貿易協定などの地域連携によって我が国海外直接投資や我が国産業がどのような影響を受けるのかを,昨年度に引き続いてGTAPモデルにより分析した.対象国は,人口大国である中国・インドネシアなどを含む東アジア諸国,NAFTA(カナダ・アメリカ・メキシコ),EU,アフリカ,オセアニアなど30カ国である.データーベースはGTAPVer5を利用した,さらに.主に30カ国,37産業,1997年のデータである.昨年に引き続き,GTAPモデルにより,日本・メキシコFTAにおける農産物輸入関税撤廃の我が国経済,特に消費者と農業への影響を分析した.さらに,このシミュレーション分析結果を踏まえて,最新のデータを利用して,韓国,タイ,フィリピン,インドネシアなど東アジアにおける我が国との2国間FTA締結が,特に輸入関税撤廃が我が国産業にどのような影響を与えるのか,を分析し,日本・フィリピンFTA以外の日本・タイ,日本・インドネシア,日本・韓国,日本・シンガポール,日本・マレーシアおよび日本・中国のFTA締結は我が国の経済厚生を高めること,特に日本・中国FTAの経済厚生が最も高いことを明らかにした.
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