2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530167
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
近藤 健児 中京大学, 経済学部, 教授 (70267897)
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Keywords | 国際労働移動 / 越境汚染 / 定住移民 / 越境労働者 |
Research Abstract |
海外での学会発表や国内での研究会での討議を経て改訂され完成した論文、"Trans-boundary Pollution and International Migration"は、Review of International Economicsに掲載されることが決定した。これはCopeland and Taylor (1999)の2国2財2要素モデルに越境汚染を加えた静学モデルで分析を行ったものである。 主な結論としては以下が得られた。 (1)染排出抑制技術のみ異なる2国を想定すると、技術的に外国よりも優れた自国は、環境資本を生産に必要とする農業財に比較優位をもつが、実質賃金水準も高くなるため、国際労働移動が許容される場合に外国から自国へと労働移動が発生する。 (2)貿易が存在しないとき、定住移民の送り出しは外国の経済厚生を引き上げるが、受け入れた自国の経済厚生の変化は技術格差や越境汚染の程度に依存する。 (3)所得の全額を工業財で送金する越境労働者の場合には、定住移民の場合と同様だが効果が更に大きくなる。 (4)所得の全額を農業財で送金する越境労働者の場合には、自国の厚生は不変だが、外国の厚生は上昇する。 (5)自由貿易下でも工業品への需要が十分に小さいときには労働移動が生じ、それは貿易量と両国の汚染水準を引き上げる。
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