2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530167
|
Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
近藤 健児 中京大学, 経済学部, 教授 (70267897)
|
Keywords | 国際労働移動 / 越境汚染 / 定住移民 / 越境労働者 / 不完全競争 / 労働組合 |
Research Abstract |
平成15年度に完成し、Review of International Economicsに掲載が決定した論文、"Trans-boundary Pollution and International Migration"の成果を踏まえ、平成16年はそれをより現実的な視点から拡張して研究を深めることを行った。先進工業国と発展途上国との相違点を、単に汚染排出抑制技術にのみ求めるのではなく、先進国では工業財の生産がしばしば不完全競争下で行われ、労働組合との労使交渉に基づいて雇用と賃金が決定されるというメカニズムが存在する点にも注目し、それをモデルに取り込む研究を行った。 研究の初期段階で、中京大学で主催した「環境と国際要素移動」をテーマとしたOne Day Conference、およびポルトガル・ポルト市での44th ERSA (European Regional Science Association) Conferenceで発表し、参加者より多くの建設的なコメントを得た。 得られた主な結論として、(1)財の消費支出割合しだいでは、先進国から発展途上国への潜在的な労働移動の可能性がありうること、(2)途上国との技術格差が大きいケースで、もし途上国から先進国に労働移動が生じれば、先進国の労働者の賃金は、組合賃金、競争賃金、いずれも上昇することになる、など直感に反する面白いものが含まれている。 この研究は報告書に掲載されるとともに、今後さらに研究会等での発表と改訂を経て、海外の学術雑誌への投稿を検討している。
|