2003 Fiscal Year Annual Research Report
外国銀行の進出とタイ銀行業への影響:ミクロ・データによる計量経済分析
Project/Area Number |
15530177
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
奥田 英信 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (00233461)
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Keywords | 外国銀行 / タイ / フィリピン / 費用関数 / 利潤関数 / 預貸金利スプレッド関数 |
Research Abstract |
(1)目的と主要な作業課題 本研究の目的は、アジア危機を契機として外国銀行の進出が進んだタイにおいて、地場銀行の経営がどのように変化したのか、個別銀行のミクロ・データを利用して分析することである。本研究の主要な作業課題は、(1)分析の理論的視座の検討、(2)タイ国内銀行の聴き取り調査、(3)ミクロ・データを利用した計量経済分析、(4)タイの事例と中欧・ラテンアメリカ諸国との比較検討の4つである。 (2)初年度の研究進捗状況 作業課題(1)について: アジア地域での事例研究を行うことを念頭に置いて、中欧・ラテンアメリカ諸国の先行研究をサーベイして論点の整理を行った。その結果は、「外国銀行の進出と途上国の経済発展-アジア研究に向けた論点整理の試み-」(国宗浩三・久保公二編(2003)『金融グローバル化と途上国』アジア経済研究所に所収)に纏めた。 作業課題(2)および(3)について: 4月から9月に掛けて、タイへの外国銀行進出に関する文献調査を行うと共に、タイ証券取引所データベース(市販)を利用して試験的に外国銀行進出効果の回帰分析を行った。 10月12日から7日間、バンコク現地調査を実施した。現地調査では、(a)タイ国内銀行ミクロ・データの収集と補充、(b)地場銀行および外国銀行支店での聴き取り調査、(c)チュラロンコーン大学およびタイ開発研究所での意見交換、を行った。 11月からは、現地補充したデータベースを利用して再推計作業を行うと同時に、銀行聴き取り調査の結果を取り纏めた。暫定的な作業結果によれば、外国銀行の進出はタイの市場競争を高める効果はあったものの、外国資本の地場銀行への経営参加は、必ずしも経費削減や利鞘縮小には結び付いていない。この内容は、「外国銀行の参入と途上国銀行市場への影響:タイの事例研究」『開発金融研究所報』国際協力銀行開発金融研究所、として発表する予定(2004年6月)である。
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