2003 Fiscal Year Annual Research Report
国際的な財政政策としての失業・環境問題対策の実践と効果の検証
Project/Area Number |
15530208
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
角野 浩 小樽商科大学, 商学部, 助教授 (20226608)
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Keywords | 財政政策 / 失業問題 / 環境問題 |
Research Abstract |
今年度は、財政政策の中でも中心的な政策手段である租税政策を検討する中で、発展途上国で深刻な失業問題、そして、世界的に問題となっている環境問題の解決手段を国際的財政・公共政策の中に求め、国際協調的政策手段の設計を行った。そして、日本経済学会2003年度春季大会(於:大分大学)で研究論文「最適課税理論の手法を用いたDouble-dividend仮説の再考察」でまとめ、その成果を山田雅俊教授(大阪大学)と共同で報告した。 以下は今年度の課題研究の主要成果である。 1 租税政策を中心に据えた上で、失業問題、特に、失業給付の正当性について検証した。そして、当該問題を発展途上国問題を含めた国際的見地から検討し、その実施可能性について検証した。 2 環境問題の対策を最適課税論的なピグー租税・補助金政策の見地、および租税改革の見地から検討した。国際間、特に国際協調的な政策問題に発展させることにより、より実現可能な国際的な環境対策の問題として位置付け、総合的に国際協調政策が実施可能性であることを検証した。 3 租税政策を中心政策に据え、失業問題・環境問題を同時に解決できる国際的な公共政策の提言、および実施可能性の検証が課題であるが、まず、ピグー課税による外部不経済を生み出す財への増税により、国際的な経済不効率を是正し、さらにこの増収をもとに、労働課税の減税が可能となれば、労働インセンティブの創出効果が期待され、いわゆる二重配当効果の可能性が見られることが分り,国際的に問題となっている失業問題の対策も同時に可能となることの示唆を行った。 次年度は、より総合的に失業問題と環境問題を捉え、そして、国内外により実践的な実現可能性の高い政策提言を試みてゆく予定である。
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