2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本の銀行行動と金融システムのアーキテクチャに関する行動経済学的研究
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15530210
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
三隅 隆司 一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (00229684)
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Keywords | 自信過剰 / 銀行の情報生産 / 投資家行動 / ディスポジション効果 / 市場の効率性 |
Research Abstract |
平成15年度は、日本における銀行および個人投資家の行動を実証的に分析するための準備作業を行った。 第1に、日本の銀行行動については、「日本の銀行は、過去において高い情報生産能力を蓄積・保有していたからこそ、バブル生成の時期を通じて情報生産能力を失うに至った」という仮説を提示し、それを実証的に検証するために必要なデータの選定および加工を行った。具体的には、銀行の収益の相対的水準と貸出ポートフォリオの構成の変化との相関関係を見ることによって、上記仮説の実証的検証ができるものと考え、そのためのデータの収集を行ってきた。データの収集はほぼ完了しており、今後具体的な実証作業にはいることにしている。 第2に、日本の個人投資家の行動については、平成16年3月にミシガン大学ビジネススクールを訪れ、同校のTyler Shumway準教授と共同研究を行うことにし、具体的な議論を始めた。共同研究では、(1)日本の個人投資家は「利益の早期確定と損切りの遅れ」といういわゆるディスポジション効果(Disposition effect)を示しているか、(2)投資家の自信過剰が投資行動あるいは市場の効率性に影響を与えているか、(3)オンライン・トレードの導入は投資家行動あるいは市場の効率性にどのような影響を与えたか、などのテーマを設定した。今後、データ・セットの構築を行い、平成16年夏よりeメールあるいは相互訪問などさまざまな機会を利用して研究を進めていくことにしている。 さらに、従来から行ってきた(1)日本の家計の貯蓄行動、(2)東京外国為替市場の効率性、に関する行動ファイナンス的・行動経済学的考察を、一橋大学商学研究科ワーキング・ペーパー(No.94およびNo.95)としてまとめた。
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