2003 Fiscal Year Annual Research Report
合理的期待と矛盾するマクロ経済現象をどう説明するか
Project/Area Number |
15530216
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
千田 隆 広島大学, 経済学部, 助教授 (00304387)
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Keywords | 金融政策 / 犠牲率 / 適応的期待 / テイラー・ルール / フィリップス曲線 |
Research Abstract |
(1)Explaining the Variation in the Costs of Reducing Inflation on the Assumption of Adaptive Expectations. 本研究は、適応的期待の前提の下で、インフレ率変更費用の大きさの説明を試みるものである。期待が適応的に形成されるとき、犠牲率(the sacrifice ratio)は(1)フィリップス曲線の傾き、(2)経済主体がインフレ期待を修正するスピード、および(3)過去に実現した実際のインフレ率によって決定される。犠牲率は過去のインフレ率の動きに依存するため、ディスインフレにおける犠牲率の大きさは個々のケースによって異なることになる。本研究では、犠牲率を「期待インフレを1%下げるのに年間実質GDPが何パーセント失われなければならないかを示す数値」と定義することによって、より安定的な犠牲率を得ることができることを示す。この犠牲率は、フィリップス曲線の傾きと期待インフレの調整スピードのみに依存し過去のインフレ率には依存しないため、期待インフレの調整スピードとインフレ率変更の費用との間の関係を分析するのに適している。本研究では、政策当局がインフレ率変更政策を早期に実施することにより、インフレ率変更費用を引き下げることができることが示される。また、インフレ率低下期には期待インフレの調整スピードが遅いという実証結果から、ディスインフレ政策の費用の方がリフレ政策の費用より大きくなるという示唆が得られる。(投稿準備中。) (2)Determining Output and Inflation Variability : Are the Phillips curve and the monetary policy reaction Function responsible? 本研究の目的は,インフレ変動や産出変動の決定因を実証的に明らかにすることである。本研究では,25のOECD諸国のデータを用いてクロスカントリー分析を行ない,金融政策反応関数の政策パラメータとインフレ・産出変動との関係,およびフィリップス曲線の傾きとインフレ・産出変動との関係を調べた。(投稿中。)
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