2003 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀初頭のイギリスにおける証券投資のグローバル化と証券投資家
Project/Area Number |
15530218
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲富 信博 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (70148740)
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Keywords | イギリス資本市場 / 海外投資 / グローバル化 / 証券投資家 |
Research Abstract |
平成15年度は以下のような研究作業を行なった。 1.マイクロ・フィルムで出版されている『ロンドン証券取引所:公式年鑑』(Stock Exchange Official Intelligence)を分析することにより、ロンドン証券取引所における海外証券の占める役割を確定し、銘柄や構成国別の詳細な上場リストを作成した。そして、そのデータと、イギリス海外投資の最新かつ包括的な統計研究であるI.Stone, The Global Export of Capital from Great Britain,1865-1914,1999.と対比させ、流通市場であるロンドン証券取引所の上場銘柄構成と実際の海外投資との相違を明らかにするとともに、同時に、イギリスの海外証券投資先の歴史的変動を明らかにし、本研究の枠組みを作成することを目指した。研究成果として,ロンドン証券取引所の上場銘柄構成と実際の海外証券投資とは大きな相違があることが確かめられた。特に,前者は,起債が欧州の主要金融センターで同時に起債されるという慣行が復活した結果,ロンドン市場では起債されていない部分も上場額に含むため,実際の海外投資額よりも過大な数字として出てきている。また,そうした欠陥があるため,海外投資先の地域分布も実際の投資先とは違っている事実が確認できた。 2.同様にイギリスGuildhall Library所蔵で、現在、マイクロ・フィルムで出版されている『外債保有者協会資料』(Files of the Council of Foreign Bond Folders)を入手し、それから外債発行の目的、証券発行の条件、発行規模、起債国の政治経済状況等のデータを分析するため,プリン・アウトの作業を行なった。これについての検討は,次年度に実施することを予定している。
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