2004 Fiscal Year Annual Research Report
近代アジア・アフリカにおける外国通貨流通の比較史的研究
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15530232
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒田 明伸 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70186542)
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Keywords | マリア・テレジア銀貨 / 英国ポンド / 銀相場 / アジスアベバ / コーヒー輸出 / エチオピア / 中国 / 外国銀貨 |
Research Abstract |
英国国立公文書館においてアフリカ地域における銀貨などの貨幣の流通に関する資料の収集につとめた結果、マリア・テレジア銀貨などの現地における流通の実態に関するより具体的な情報をえることができた.。特筆すべきことは、アジスアベバにおけるマリア・テレジア銀貨の英国ポンドに対する比価の月別趨勢を知ることができたことである。その比価の月別趨勢とロンドンの銀相場の同じく月別趨勢の相関性を調べてみた。その結果、両者の相関係数が高い時期と、さほど高くない時期とがかなりはっきり区別されて現れた。銀相場とマリア・テレジア銀貨比価の相関が強い時期は、エチオピアのコーヒー輸出が堅調だった時期に合致し、その裏もまた真であった。このことは、現地産品の輸出が国際的価格体系と現地のそれの同調性を高め、マリア・テレジア銀貨をその架け橋の役割を果たしていたことを示す。同時にその連結は、ギアの切り替えのごとく、輸出産品に市況によってスイッチしたことになる。このことは、19世紀から20世紀初めにかけて世界的に流通した他の外国銀貨の役割を考える上でも重要である。 なお、成果の一環として2004年6月29日にLondon School of EconomicsにてThe Invisible Currency Circuit : The Maria Theresa Dollar in Early 20^<th> Century East Africa.の演題にてセミナーを開き、貨幣の重層的な流通の具体的な様相と、20世紀初頭に東アフリカにおけるマリア・テレジア銀貨と中国における日本銀貨が地域経済間をつなぐ環状流通をなしていた共通性に、アフリカ史研究者からも関心を寄せられた。
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Research Products
(2 results)