2004 Fiscal Year Annual Research Report
近世ドイツの商業都市とヨーロッパ国際商業に関する研究
Project/Area Number |
15530240
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
谷澤 毅 長崎県立大学, 経済学部, 助教授 (00288010)
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Keywords | ドイツ / 商業都市 / ハンザ / 国際商業 / リューベック / バルト海 / ライプツィヒ / オランダ |
Research Abstract |
平成16年度は以下の二つの成果を得た。(1)「ハンザ後期のリューベックとバルト海地域」、(2)「ハンザ転換期におけるバルト海情勢と商業-ハンザ・オランダ・デンマーク」の二点である。(1)は、中世後期から近世初頭にかけてのバルト海地域を舞台とした海上商業をリューベックに視点を置きながらやや長期的に検討したものであり、欧米の文献ならびに筆者のこれまでの研究成果を再構成しながら関税台帳などの統計的データを活用しつつ検討を行なった。その意図は、リューベックを中心とするバルト海沿岸ドイツ商業都市の国際商業展開の方向性を探ることにあり、検討の結果、近世に向けてリューベックが東西ヨーロッパ商業の結節点からバルト海域内商業、とりわけバルト海南西海域という狭い海域の中心港へと商業上の性格を変化させていたことを具体的に確認することができた。その成果は平成16年度の市場史研究会秋季大会において報告された。(2)は、ドイツ・ハンザが発展から停滞・衰退へと至る時期(14世紀後半-15世紀前半)の国際情勢を考察したものであり、ハンザ衰退以降のドイツ港湾都市が国際商業を展開していく上で前提となる政治・経済的条件の変化の一端を明らかにしたものである。この時期の商業の前提となるバルト海情勢に関する研究はこれまでわが国では十分でなく、その意味で本研究はヨーロッパ国際商業に関する知見を僅かではあれ深めることに貢献できたかと思う。なお、その成果は『長崎県立大学論集』第38巻第4号に掲載の予定である。そのほかの研究としては、18世紀ライプツィヒの国際商業に関する考察に着手し、プロイセンの勢力が拡大していく中でのドイツの内陸地域における国際商業の展開について研究を継続中である。
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Research Products
(1 results)