2003 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄における産学官連携組織の戦略的マネジメントの研究:次世代型TLOの探究
Project/Area Number |
15530261
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
大角 玉樹 琉球大学, 法文学部, 助教授 (80305177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多賀 寿史 琉球大学, 法文学部, 講師 (80336362)
知念 肇 琉球大学, 法文学部, 助教授 (80227321)
與那原 建 琉球大学, 法文学部, 教授 (30182843)
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Keywords | 産学官連携 / イノベーション / 沖縄 / クラスター / 知的財産 / 国立大学法人化 / TLO |
Research Abstract |
産業基盤の弱い島嶼圏、沖縄という地域の活性化、アジア・太平洋島嶼型の知的クラスターの構築という観点から産学官連携モデルの検討ならびに国内・海外の実態調査を行い、以下のような知見を得ることができた。 まず、沖縄型モデルの構築にあたって、オープン・イノベーションという視点が重要であり、マルチメディア・アイランド構想以降整備されたネットワーク基盤の高度活用によるデジタル・オポチュニティの創出が求められる。第二に、近隣諸国並びに太平洋島嶼国との歴史的・文化的ネットワークを活用した事業機会の創出が期待されているが、現在のところ単なる人材交流に留まっており、各国とのコーディネート機能を担える人材の早期育成・確保が必要である。第三に、琉球大学は地方大学ということから、教職員の産学官連携に対する理解度が極端に低く、とりわけ文系学部では拒否的な反応が強い。そのため、学内・学外、あるいは全県にわたって、知的財産の重要性と事業化の必要性を啓蒙する機会をより多くし、広く理解と協力を得られる環境作りも危急の課題である。産学官連携推進会議に代表される各種シンポジウム等の状況をより身近に感じられるような情報共有システムの構築も重要である。第四に、国立大学法人化に伴い、既存タイプのTLOと知的財産本部が共存する形となるため、それらの機能分担・共進化の方向性を早急に議論する必要がある。他の国立大学TLOも同様の課題を抱いている。第五に、シリコンバレーに代表されるカリフォルニア州の産学連携は、すでに20年の歴史をもっており、その理念や戦略は大いに参考になるものの、島嶼地域においては、かなり異なるイノベーション・モデルが必要になる。特に、多様な海洋資源・亜熱帯資源の知的財産化とオープン化は将来的に有望な事業機会につながる。 以上の成果を踏まえ、知的財産立県に値する沖縄の産学官連携モデル構築を継続する。
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