2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530277
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
岡部 曜子 京都産業大学, 経営学部, 教授 (30258181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 英樹 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (60031390)
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Keywords | 日本的経営 / 情報化戦略 / 基幹業務 / モジュール導入 / 業務の標準化 |
Research Abstract |
平成15年度は本研究の初年度にあたるため、文献サーベイと日本国内における企業インタビューを中心に研究を行い、それらの成果をディスカッションペイパーにまとめ、学会報告も行った。今年度の研究から明らかになった重要な時事は、以下の三つである。 (1)日本的経営とERPはその特質上、相容れないものであるが、世界中の大企業でRPPの導入が進んでいる現状を鑑みて、日本企業も今後はERP導入の方向に向かわざるを得ない。ERPの基本思想は基幹業務の標準化による業務の効率化であり、生産などの業務を他社と差別化することで国際的な比較優位性を獲得し、また内部経営資源蓄積型の経営を行ってきた日本企業にとっては、企業はERPを導入することは必ずしもメリットをもたらさない。 (2)日本企業におけるERPの導入は、ERPは主に人事や経理などのオフィス業務にのみ、モジュール導入されているケースが多い。 (3)日本企業は、ERPを含む高額な情報システムの導入にあたり、明確な情報化戦略が立てられないまま、導入が決定されている。経営者の関与の度合いが少なく、このことがシステム障害などの導入の失敗を招きやすい体質になっている。 文献はERP関係の新しい著書および論文に加えて、日本企業における情報システム導入の実態を報告した著作も広く調査した。企業インタビューは、ERPの導入企業、ベンダー、コンサルティング会社の計18社に対して行った。外資系企業3社も含まれている。また、吉原英樹・岡部曜子・横田斉司(東京商工会議所)の連名でディスカッションペイパーを神戸大学経済経営研究所より出版した(神戸大学経済経営研究所Discussion Paper Series no.J48、平成15年7月)。その内容は、平成15年10月26日に国際ビジネス研究学会第10回全国大会にて「情報技術革命と日本的経営の緊張関係-ERPを中心として-」の論題で報告を行った。
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