2003 Fiscal Year Annual Research Report
生命保険会社による商品戦略の展開と課題―企業の論理と契約者利益―
Project/Area Number |
15530289
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
江澤 雅彦 早稲田大学, 商学部, 助教授 (80185115)
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Keywords | 予定利率の引き下げ / 逆ザヤ / アカウント型保険 / ワンストップ・ショッピング |
Research Abstract |
生保会社の商品戦略に閲し、本年度は、いくつかのサブテーマを設定し研究した。 第1が、逆ザヤ克服のための「予定利率引き下げ制度」の概要、契約者利益からみた問題を検討した。2003年7月18日、参議院本会議において改正保険業法が成立し、予定利率を経営破綻前に引き下げる道が開かれた。裁判所主導で行われる破綻処理に加え、保険会社と保険契約者が合意すれば当初の契約内容を変更しても良いという「私的自治」を原則とした経営破綻回避策が設けられたことは基本的に評価できる。しかしながら、新制度にも今後見直すべき課題が存在する。すなわち、契約者から同意を得る制度自体に不備があること(金融審議会中間答申における「契約者集会」の欠落)、契約者への情報開示の不十分さ(3利源開示は任意)、解約増への懸念等である。 第2のサブテーマは、「アカウント型保険」である。20年近く前に導入が報じられながら、2000年4月にようやくわが国市場に登場した同保険の導入背景、また同保険導入が生保経営、契約者利益にとって有する意義・問題点を明らかにした。導入後1年で、保有契約高ベースで5%のシェアを確保しており、予定利率が一定年数毎に見直されることにより、会社にとっては逆ザヤが発生しにくいというメリットがある。その反面、第1保険期間が終了するまで、金利動向しだいで最終的な保険金額が不確定である。変額保険的な要素が一般勘定商品にも見られることになったのは、契約者にとっては問題である。
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Research Products
(2 results)