2003 Fiscal Year Annual Research Report
多様な規制制度から来る証券市場における会計情報の偏在と価格形成に関する実験的研究
Project/Area Number |
15530303
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山地 秀俊 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (40127410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 雅敏 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (70186899)
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Keywords | 効率的市場仮説 / 市場均衡 / 実験的技法 / 不正会計 / エンロン / 実証研究 |
Research Abstract |
2002年にエンロン事件によって提起された証券市場の問題の一つは、一部の上級経営者が自社株の購入を自社の従業員に勧めている一方で,自らはすでに悪化しつつあった経営環境を考慮して自社株を売り抜けるという行為をとっていたという、古典的な、インサーダー・トレーディングといってよい。こうした問題は証券市場で絶えず現実には起こっていると考えられるが,他方,証券市場規制を司る先進資本主義諸国の規制関係機関は,おおむね効率的市場仮説に依拠して市場規制を行い、エンロン事件は例外との立場を取っている。こうした当局の立場の正当性を実験的技法で確認したい。 具体的には,一般に利用可能な情報と,非公式だがより内部情報にせまる情報という複数の情報が市場に対してもたらされたとき,複数の利用可能な情報を適切に統合して株価形成を行うことが,市場にとって本当に可能であろうか。可能という前提で今日の証券規制行政が行われているといるが、これまでのファイナンスにおける実証結果の積み重ねでは,こうしたことが市場にとって可能であることを立証してはいない。複数の情報があって,その各々について市場に伝達された時に株価反応が確認できるということは,その各々の情報を適切に反映させて株価形成を行っているということの証にはならない。しかしこの点はCAPMと効率的市場仮説の文脈では,反証的に立証することはできない。なぜなら,実際に伝達される複数の情報が,本来的に株価に反映されるべき相対割合を確定することが不可能だからである。したがって,複数情報に市場が反応していれば,どちらの情報も株価に「織り込んだ」とみなすのであり、その際過度な,あるいは不十分な読み込みを検証できない。この点を指摘するためには,実は,実証では不可能であり、実験環境ならばそれを確認することが可能であると考えた。
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Research Products
(1 results)