2004 Fiscal Year Annual Research Report
多様な規制制度から来る証券市場における会計情報の偏在と価格形成に関する実験的研究
Project/Area Number |
15530303
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山地 秀俊 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (40127410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 雅敏 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (70186899)
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Keywords | 真実な情報 / ディスクロージャー / 異質な情報 / 収束価格 / オークション / 共有知識 |
Research Abstract |
8人の被験者を使って仮想市場を形成し、取引される証券に関する複数の情報が8人の市場参加者に部分的に共有されている場合の証券価格形成過程の研究を行った。前年の実験では、より多くの市場参加者(被験者)に共有されている情報に、証券収束均衡価格が規定されるという結果を得た。今年の実験では、そうした市場に出回る情報の中に真実な情報を一人の被験者に前もって与え、かつ市場に対してそうした情報が、誰が保有しているかは知らないが存在することを共有知識として与えるという実験環境下で証券の収束均衡価格形成を検討した。結果、そのような真実情報が市場に出回っており、かつそのことが被験者間で共有知識として保有されている場合には、真実情報がピボットとして機能し、そうした情報が出回っていないときに比べて、収束均衡価格が真実な値から乖離する程度が有意に小さいことが判明した。ただし、このことがいえるのは、他の被験者が保有する真実ではないサンプリング情報の信頼性が低い場合には、こうしたことはいえず、他の被験者もまた真実な情報の周辺情報を保有しているときに限られた。 このことは会計制度に対してある意味ある提言を含んでいる。一つは、より多くのものが保有する情報に、証券市場価格が左右されるので、会計情報公開制度は、よりわかりやすい情報を公開する必要があるということ、いまひとつは、真実な情報があると信じられるような信頼性ある公開制度下では、市場参加者はより注意深く情報・市場を分析し、投資するのでファンダメンタルな情報を証券市場が反映する可能性が大きくなるということである。逆に圧倒的信頼性のある公開制度がないような市場状況下では、ファンダメンタルな情報がアンカーにならず、バブルを引き起こす可能性があるということになる。
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Research Products
(1 results)