2004 Fiscal Year Annual Research Report
スチュワードシップ会計の展開-内部ガバナンスの仕組みと会計情報-
Project/Area Number |
15530309
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
乙政 正太 阪南大学, 経営情報学部, 教授 (60258077)
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Keywords | 経営者報酬契約 / インセンティブ / 会計利益 / 業績報酬関係 |
Research Abstract |
株式会社におけるコントロール・メカニズムは実に多様であるが、その最も簡単な方法は、経営者の行動がもたらす成果の分配ルール契約内容に盛り込むことである。経営者報酬契約がその一例で、これは、株主の利害に沿う行動には報奨を供与し、株主の利害に反する行動にはペナルティーを科すインセンティブ・システムである。この目的を達するには、企業業績と経営者報酬を連動させるシステムを構築するのが有効である。本研究は、経営者報酬と会計利益との間の実証的な関係を浮き彫りにすることを目指している。 近年、日本企業における経営者報酬と会計利益の間の連動性を示す証拠が積み上げられつつある。本年度において、経営者報酬契約において会計情報(特に、会計上の利益数値)がどの程度重要な役割を果たしているかを検証するが、主眼は経営者報酬と会計利益の連動性に関する一般的トレンドの存在を考察することにあった。現金報酬の決定要因として会計上の利益数値の役割はなお重大であるとしても、その役割がどの程度維持されているかはよくわかっていない。 1986年3月期から2002年3月期にわたって会計利益の変化に対する経営者報酬の感心度がどのような趨勢をたどっているかを検討してみた。主な結果は次の通りである。前期利益をベンチマークとする尺度を利用した場合、ゆるやかではあるが、その感心度は時系列的に有意に低下する傾向にあった。1996年を基準に産業ごとに経営者報酬と会計利益の関係を調べたが、前期よりも後期に会計利益に対する経営者報酬の感心度は平均的に低下していた。だたし、予想利益をベンチマークとする尺度を用いた場合、感心度が時系列に大きくは変化していないという証拠が得られることもあった。
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Research Products
(1 results)