2004 Fiscal Year Annual Research Report
中山間地域における地域社会構造の総合的研究-過疎化・高齢化のモデルを求めて-
Project/Area Number |
15530325
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
白樫 久 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 教授 (80003193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 健 岐阜大学, 応用生物学部, 教授 (00293548)
山崎 仁朗 岐阜大学, 地域科学部, 助教授 (40262828)
荒井 聡 岐阜大学, 地域科学部, 助教授
杉野 緑 岐阜県立看護大学, 看護学部, 助教授
松下 光子 岐阜県立看護大学, 看護学部, 講師
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Keywords | 中山間地域 / 過疎地 / コミュニティ / 保健 / 福祉 / 農村社会 |
Research Abstract |
平成16年度、本研究組織は旧和良村(現岐阜県郡上市和良町)にて本調査を実施した。本研究の研究組織(1 地域経済班、2 地域保健・福祉班、3 地域コミュニティ班)に沿って旧和良村の全地域にわたっての資料の収集と関係機関(旧役場、農協、和良病院、地域諸組織)より聞き取りをまず実施し、さらに旧和良村上土京、宮地の二つの地区の住民の悉皆調査を実施した。現在、各研究組織によって分析が進められているが、現在の時点での中間的結果を明らかにする。地域経済の柱である農業は、農民の兼業化と離農の増大、さらには住民の流出の拡大によって「家族農業」としての経営が困難になりつつある。とりわけ周辺の山間部でその傾向が強い。そうした状況のなかで、村内の「請負組織」が稲作を中心とした「地域農業」を辛うじて支えている。旧和良村は、20世紀後半、農村の工業化に力を入れ、いくつかの小工業を村内に誘致した。そのいくつかは現在でも操業を続けていて、村民の働きの場となっている。一方、農民の兼業化が常態化して村外への「通勤兼業」が一般化している。本研究も村内の工業についての調査が課題となっている。高齢化している住民にとって、村の健康と福祉政策は重要課題である。旧和良村は和良病院を中心とした保健・医療活動によって「健康村」と謳われ、一定の成果を挙げてきた。しかし、高齢化の進展のなかで、家族の機能が衰え、家族介護の体制も崩れつつあり、今後、介護を含む地域生活の「社会化」が益々必要となってきている。合併後の新自治体が、こうした保健・福祉体制を住民に対してどのように維持するかが課題となる。旧和良村のコミュニティは藩政村以来の旧村のまとまりが生活の規範として機能してきた。地区毎の「祭礼」や「神楽」の実施は、その一つである。しかし、農業の停滞や住民の流出が従来のコミュニティの機能を急速に低下させつつある。以上、三領域のそれぞれの課題を「合併の新自治体」がどのように対処していくか今後の研究課題として残りそうである。
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