2004 Fiscal Year Annual Research Report
男性保育士のライフコース:ジェンダーの壁を乗り越えた男性たち
Project/Area Number |
15530339
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
西野 理子 東洋大学, 社会学部, 助教授 (50257185)
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Keywords | ライフコース / 男性保育士 / 職業キャリア / ジェンダー |
Research Abstract |
本研究は、女性が圧倒的多数を占める保育士という職業を選択していった男性保育士を対象に、その職業キャリアならびに人生形成のプロセスをたどることにより、ライフコースの形成過程や転機、さらにはジェンダーで構築されている社会と個人との接点をさぐろうというものである。 今年度は、東京都23区内の公立保育園に勤務している男性保育士を対象にインタビュー調査を実施した。23区内の男性保育士のいる区立保育園に区役所を通じてお願いをし、結果として200名に調査を依頼し、181名から協力を得られた。181名の年齢は平均32.2歳、最若年が21歳、最年長が51歳であった。インタビューとあわせて、郵送回収による構造化されたアンケート用紙による調査も実施した。調査の成果は、年度末に第一次報告書にまとめ、対象者ならびに調査協力者に配布した。 調査では、1.現在の保育園での勤務状況、2.保育士としてのキャリア、3.保育士になるまでの職業キャリアと保育士職への移行過程、4.生育キャリアと結婚経験、などをたずねた。えられたインタビュー・データからライフコース形成に関するデータを作成し分析した結果、保育職につくまでのキャリア・パターンが大きく5つに分けられること、複雑な径路をたどっている者が女性より多いこと、アルバイトや専門学校での実習経験が職業選択の決め手になっているケースが多いこと、などを明らかにすることができた。男性保育士の現在の仕事に対するやりがい意識はきわめて高く、「やりがい」ある仕事に至るまでの道筋を具体的に確認することができた。また、郵送返却によるアンケート調査のデータからは、仕事内容ならびに時間や福利厚生に関する満足度は、一般企業に勤務する同年齢層の男性と比較しても高いことなどを確認することができた。現在、引き続き分析を進めている。
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