2003 Fiscal Year Annual Research Report
組織の社会的信頼を高めるコミュニケーション・マネジメント
Project/Area Number |
15530360
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
清宮 徹 西南学院大学, 文学部外国語学科, 講師 (00360298)
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Keywords | 不祥事 / 組織虚偽 / リスクマネジメント / 経営倫理 / 情報共有 / 組織文化 / 市場主義 / コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究プロジェクトは、「組織虚偽」の生成過程を解明する第一研究と、組織の社会的信用を向上させる企業努力を分析する第2研究から構成された。本年はプロジェクト初年度として、基礎的研究を重視した。第一研究としては、過去10年間の組織虚偽のデータベース化を試みた。組織虚偽を「不祥事」として言い換え、新聞資料(縮刷版)から事件を抽出し、コミュニケーション的視点から組織虚偽を分類・整理した。とくに2000年から2002年までの3年間について、パイロット的にデータベース化を試みた。また、福岡近隣の病院関係者や一般民間企業従業員とのフォーカスグループによるインタビュー調査、雪印乳業経営幹部とのインデプス・インタビューなどを行った。これらの調査を通じて、組織虚偽の生成プロセスは個人的な要因以上に、組織コミュニケーション的な問題点が組織の慢性的な土壌になっていることが明らかになりつつある。つまり多くの不祥事において組織虚偽の生成には、組織の日常性の中に問題が隠され、組織内の人間はそれに麻痺してしまっていることが解明させた。また、組織内外のコミュニケーション行為の中に、リスク意識が欠如している点や、情報共有と手続き的公正さ(組織民主主義)がかけている点が示唆される。また、日本的ともいえる「事勿れ主義」的で明言しないコミュニケーション、「内向き」な組織文化、本音と建前などの要因も見られた。さらに、現代資本主義社会・市場主義の偏重が、組織において人間関係のゆがみや、思考や行動の転倒性(例えば、安全性よりも経済効率性)、そしてこれらが組織の中にあって一種のマインドコントロール状態に陥っている様が解明された。第二研究に関しては、企業の社会的貢献について電話と電子メールによるヒアリングが、25社の民間企業に対して行われた。現在これに関する調査報告書を作成中である。
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