2003 Fiscal Year Annual Research Report
要介護高齢者のターミナル期の経時的ニーズに対するケアマネジメントのあり方
Project/Area Number |
15530386
|
Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
篠田 道子 日本福祉大学, 社会福祉学部・社会福祉学科, 助教授 (00319302)
|
Keywords | 要介護高齢者 / ターミナル / 経時的ニーズ / フランスのターミナルケア / 在宅入院 / ケアマネジメント |
Research Abstract |
(1)要介護高齢者のターミナルケアの経時的ニーズに関する文献研究を行った。 ・要介護高齢者のターミナル期の時間設定は困難である。理由は、症状が緩慢に進行すること、加齢現象との判別が困難であること等。ただし、緩やかな概念化は研究上必要と思われる。 ・特別養護老人ホームで死亡した要介護高齢者の経時的ニーズについては、身体的症状(発熱・脱水・転倒・嚥下困難)の出現時期とその対応についてまとめたものが多かった。また、看取りへの対応方法については、本人の意思確認が困難なことから、ほとんど家族が意思決定している現状である。 ・在宅ターミナルケアでは、キュープラロスの理念を応用したものが多かった⇒「導入期」「小康期」「臨死期」「死別期」。事例研究と実証研究の比率は同程度であり、アウトカム評価(在宅死亡率・QOL・介護者の満足度・訪問者護師の達成度)も欧米を中心にかなり見られるようになってきた。 ・「臨死期」では特有な症状が高い比率で出現するため、家族介護力が限界に達し、この時点で入院を選択する家族が多い。ただし、訪問看護師と主治医との連携が良好な場合は、そのまま在宅ターミナルを選択する傾向がある。 (2)フランスにおけるターミナルケアの実践と課題を検討した。 フランスでは「在宅入院」(わが国の退院計画に該当)のシステムが公的病院を中心に普及している。在宅入院の対象者の90%がガン患者であり、在宅死は30%と高い。ターミナルケアのケアマネジャーは民間事業所の看護師と地域の開業看護師である。ケアマネジメントのポイントは、医師との連携、24時間365日対応可能な訪問者護サービスがあること(開業看護師が対応)、症状コントロールがされている、家族の精神的サポートがされていること、である。課題としては、パリ以外では「在宅入院」のシステムが普及していないこと、24時間対応が困難なことが挙げられる。
|