2004 Fiscal Year Annual Research Report
要介護高齢者のターミナル期の経時的ニーズに対するケアマネジメントのあり方
Project/Area Number |
15530386
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
篠田 道子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 助教授 (00319302)
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Keywords | 要介護高齢者 / ターミナルケア / 終末期ケア / 経時的ニーズ / ケアマネジメント / フランス中期入院医療施設 |
Research Abstract |
1.要介護高齢者の終末期ケアの経時的ニーズを分析した 癌以外(慢性呼吸不全、脳卒中、重度認知症など)の要介護高齢者の終末期ケアにおける経時的変化について、5事例の分析を行った。 (1)徐々に衰弱する要介護高齢者に共通する症状は、経口摂取の低下であった。食事形態や内容を工夫すれば死亡直前まで摂取できるケースもあった。 (2)末梢点滴の有無については医療従事者や家族間でも意見が異なった。 (3)老衰が疑われても、脱水や軽度の肺炎であった場合もあり、このような事例は治療により回復した。 (4)浮腫・脱水・痛み・呼吸困難などの症状が多く、これらを緩和する知識と技術が求められる。 2.フランス中期入院医療施設における終末期ケアの実践について フランス・パリ市の2ヶ所の病院と、開業看護師2ヶ所を訪問し、フランス中期入院医療施設における終末期ケアの取組みと在宅支援についてヒアリングを行った。以下に概要を示す。 (1)フランス中期入院医療施設の対象者は、老年科が主な診療科目であるため、骨折、神経難病、80歳以上の癌患者(主に化学療法)、重度認知症など要介護高齢者が多い。平均在院日数は、A病院(公立:30日)、B病院(私立:40日)であった。在宅復帰率はA病院:30%、B病院:80%と差が大きかった。 (2)在宅死亡率はフランス全体では85%であり、ここ数年横ばい傾向であるが、パリ市内など大都会では徐々に低下傾向にある。施設内死亡率は、A病院:6%、B病院:12%である。ただし、終末期になると中期入院医療施設から長期入院施設に転院する患者が多い。長期入院施設では医学的サービスについては、疾病保険で対応するため、終末期医療(緩和ケア)が制限されることは少ない。 (3)在宅死亡率は徐々に低下しているが、その要因は独居や配偶者の高齢化である。フランスでは「在宅入院」(わが国における退院支援)が制度化され、病院から在宅への連携を促進している。在宅入院患者のほとんどが癌患者で、緩和ケアや在宅医療を行っている。ただし、医療ニーズの高くない患者は、在宅入院の対象にはならない(社会扶助費制度対象)ため、重度認知症など要介護高齢者への終末期ケアは長期入院施設で行われる。
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