2003 Fiscal Year Annual Research Report
配偶者からの暴力と児童虐待の関連-母子生活支援センター入所の母親支援の検討-
Project/Area Number |
15530393
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
大原 美知子 財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (50360699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今野 裕之 目白大学, 人間社会学部・心理カウンセリング学科, 専任講師 (70348316)
妹尾 栄一 財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員 (30226675)
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Keywords | 不適切な育児 / DV(パートナーからの暴力) / 母子生活支援施設 / リスクファクター |
Research Abstract |
今年度(平成15年度)はリスクファクターを推定するための質問紙作成のための調査を行った。母子のケアを行っている母子生活支援施設関連職員(母子指導員・児童指導員・養護施設職員・家庭生活支援センター相談員)へヒアリングをおこない、母子生活支援施設入所の母親から子供への不適切な育児行為にどのようなものがあるのか、またその不適切な育児の背景にある母親自身が抱えている問題点の検討を行った。その結果、母子生活支援施設入所中の母親に頻繁に見られる不適切な育児行為は、オムツが変形するほど長時間取り替えない、食事を与えないなどのネグレクト行為のほかに、学校に登校させない、兄弟間での明らかな差別、職員の面前で子供を蹴る・殴るなどの虐待行為が抽出された。また母子生活支援施設は母子が部屋ごとに個別で生活しているため、母親が室内に閉じこもり職員の介入を拒むと、それが子供への不適切な育児行為に直接つながるが、その際の子供の保護などの対応について、母子生活支援施設という施設特有の困難さが浮かび上がってきた。母親のこれらの行為の背景には、母親としての自覚の無さやスキルが獲得できていないほかに、統合失調症や他の精神疾患の所在が疑われ、質問項目をより精査する必要があることが示唆された。またかなりの頻度の母親に知的な問題があるため、自記式質問紙に回答できない人への対応など、調査方法も含めて検討しなければならない課題も提示された。これらの結果を元に、次年度は質問項目について母子生活支援施設職員の意見を聞き、質問項目の修正・実施方法などの検討を行い、より精度の高い質問紙を作成する。作成された質問紙は協力の得られる母子生活支援施設で予備調査を行い、本調査に備える予定である。
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