2004 Fiscal Year Annual Research Report
方言-共通語の言語的多様性に関するエスノグラフィ-を実践する参加型学習の創造
Project/Area Number |
15530419
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
茂呂 雄二 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (50157939)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 環 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (70198761)
篠崎 晃一 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (00206103)
當眞 千賀子 独立行政法人国立国語研究所, 研究員 (60311148)
|
Keywords | 方言 / 共通語 / 言語的多様性 / エスノグラフィー / 参加 / 授業モデル / 実験授業 |
Research Abstract |
本研究は、方言と共通語が形成する言語的多様性について、児童・生徒自らがエスノグラフィー(言語生活調査)を行う参加型の授業モデルを構築し、モデルを実際に実験的授業場面を実現し、さらに結果から授業モデルを改訂しつつ<学習論=言語生活調査者>の観点の提案を目指した。 方言と共通語が作る言語的多様性は、一方で児童自身を取り巻く生活世界と直結しており、児童が地域社会や環境に関する学習を進める場合に適した素材である。さらに言語的多様性は、児童自らの表現と理解の媒体でもあり、児童の自己理解や他者への共感を育むうえでも重要なテーマとなる。その意味で、方言と共通語が作る言語的多様性は、迫真性をそなえ、しかもさまざまな学習領域への拡張性を合せ持つから、総合的な学習における格好の学習テーマだといえる。しかし、現行の教育課程では、言語事項は文字、語彙、文法など要素的な側面に限られており、言語生活の側面は十分には取り上げられていない。言語的多様性は地域社会における言語生活に密に関係するから、要素的側面としてよりは、むしろ生の言語使用である人々の会話や談話として現れる。そこで児童に言語的多様性に気付かせるには、要素的側面としてではなく、談話分析学あるいは社会言語学と呼ばれる学問領域の知見をかみ砕いて導入する必要がある。そこで本研究では、談話分析などの知見を児童に適合させるなどの条件整備をして、児童・生徒自らがエスノグラフィー(言語生活調査)を行う参加型の授業モデルを構築・実現する。本研究の具体的作業は以下の通りである。 (1)教育課程の現況に関する実態調査:方言に関する授業の分析、総合学習の事例収集、児童の社会言語学的知識の把握実態を調査する。 (2)小集団による分析・話し合い過程にもとつく学習状況の構築:テーマおよび教材の特定、パソコン等の使用機器・道具の整備、話し合いに提供する素材の選定などを行う。 (3)授業実践モデルケースの構築と実験授業の実施と評価:協力校の連携のもと小学校における授業実践を企画し、モデルを評価する。
|
Research Products
(1 results)