2004 Fiscal Year Annual Research Report
生涯発達の視点からみたジェンダー:その発達機制の理論化と教育実践
Project/Area Number |
15530424
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
湯川 隆子 奈良大学, 社会学部, 教授 (40100945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 利武 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (20008189)
廣岡 秀一 三重大学, 教育学部, 助教授 (30199111)
石田 勢津子 名古屋外国語大学, 外国語学部, 教授 (90151373)
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Keywords | ジェンダーの発達機制 / 生涯発達 / 生物学的性 / 社会・文化的性 / アンドロジィニィ(両性具有性) / ジェンダー認識の時代的推移 / 大学生のジェンダー認識 / 高齢者(中高年)のジェンダー認識 |
Research Abstract |
本研究計画は、相対的多様性を含意する「ジェンダー」を基幹概念として、性に関わる諸発達についての新たな理論的枠組み-生涯発達の視点から生物学的性と社会・文化的性を有機連関・連続性をもつものとして位置づける-を構築するための実証的研究とそれに基づいた実践的研究を行うことであり、「研究1」「研究2」「研究3」の3つから構成されている。 今年度は上記研究計画の内「研究1」「研究2」を平成15年より継続実施しており、現在データ分析中である。更に今年度「研究3」の一部に着手した。各研究の具体的進行状況は次のとおり。 (1)「研究1」:従来のジェンダー(性役割)特性語の認知が年代の推移に伴って現実に変化している事実を示すことから、性に関する諸発達が変容しうる、即ち、相対的多様性をもつことを量的分析により提示する調査研究を行った。1970年代と1990年代に大学生に実施した同一質問紙調査から、年代の推移に伴い認知がジェンダー規範の束縛から自由になっているかをみた。既に収集を終えた資料の前半部分について、共同研究者の廣岡の協力を得て15年度に本格的な整理・分析を開始、現在も続行中である。結果の一部は論文として発表した。 (2)「研究2」:生物学的・身体的と社会・文化的性が密接に繋がっていることを検証する小規模調査と面接による事例研究を実施した。従来の性役割規範に照らせば、身体的性と社会・文化的性の間に何らかのギャップをもち不適応とみなされがちな女性達として、今回は中高年女性を対象に、彼女らのジェンダー認識と彼等自身のエイジングの過程と特徴がどんなな関係にあるかを検討した。即ち、東海と関西2地区で相前後して、各約30名ずつを対象に半構造化面接調査を行った。東海地区については石田の、関西地区については高田の協力を得た。分析結果の一部は論文として発表した。 (3)「研究3」:ジェンダー・フレキシブルな教育実践のための教育プログラムを開発する準備として、日本のジェンダー教育カリキュラムとその実践状況について、石田の協力を得て資料収集を開始した。
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