2003 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニケーション発達における発話の帰属と知的所有
Project/Area Number |
15530434
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
斉藤 こずゑ 国学院大学, 文学部, 教授 (70146736)
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Keywords | 発話の帰属 / 発話の個人性情報 / 微視的分析 / 著作権 / 所有概念 |
Research Abstract |
平成15年度は発話の特定話者への帰属方略とその発達過程について、次のことを具体的に明らかにすることを目的とした.1,乳幼児および成人に対し、参与者の社会文化的文脈の差異を考慮し、半統制実験場面、自然場面など様々な状況において、会話を収集・観察・分析し、発話の帰属メカニズムを検討した。発話の個人性情報の付与、およびその解読には、視覚情報が重要な役割を果たすため、ビデオ録画資料の微視的分析によって、視聴覚的帰属方略を抽出した。画像分析は継続中だが、a,会話相互作用場面における個人の位置取り、b,個人の発話量、c,個人の発話の声質、d,集団内での個人の他者評価、e,大人の発話評価、f,個人の表情や非言語行動などの、社会的関係を含む多様な要因が、特徴的な話者帰属をもたらすことが示唆された。それは、集団での発話の共有を含み、物理的話者の概念の再考を要するものと予想された。 2、発話の個人性情報と発話の帰属、さらに、各種形態の知的、私的創作物に関する著作権および所有概念、との関係について検討するため、幾つかの質問項目を用意し、年長児と成人で調査した。平成13〜14年度の結果より2のメタ的知識と、上記1の行動レベルの発話の帰属との乖離の原因を探ることが発話の帰属の本質と関わる重要な課題だと考えられるためその点の理論的検討を行った。調査結果の検討及び、文献研究の、現段階での結果は、メタ的知識を明示的な問答で明らかにすることの矛盾に基づく困難があるため、その改良を検討している。表層的には、知的、私的創作物の所有については、幼児期からの自他概念の発達を反映した段階的変化が見出された。
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