2003 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の行動調節機能-反応抑制が機能しにくい条件について-
Project/Area Number |
15530438
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
土田 宣明 立命館大学, 文学部, 助教授 (40217328)
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Keywords | 抑制 / 抑制機能 / 高齢者 / 老年期 / 行動調節 |
Research Abstract |
今年度は,location-basedの抑制機能の問題を,Simon taskを用いて検討した.Simon taskは別名directional storoop taskと言われているように,location-basedでの,妨害刺激への反応の抑制をみる課題であり,高齢者で衰退が予想される課題でもある.この課題を用いて,今年度は特に機能の可塑性(plasticity)の問題を中心に検討した.近年の,Hasher, Zacks, and May (1999)の研究から,抑制機能は生活のリズムの影響(circadian arousal)を受けやすい機能であることが分かっている.さらに高齢者を対象とした認知リハビリテーションの効果測定(吉田ら,印刷中)の中でも,抑制機能が強く関連する課題で得点変動の大きいことが確認されている. そこで,今年度は前頭前野の活性化を意図した認知リハビリテーションの効果測定の一環として,Simon taskを定期的に実施し,(1)高齢者群と若年群との比較,さらに(2)認知リハビリテーションの効果に伴う抑制機能の変化,を検討してみた.実験の結果,次の点が確認された.(1)若年群と比較すると,高齢者群でSimon効果が強くみられたこと(妨害刺激の影響を受けやすいこと).さらに(2)効果測定のみを実施した統制群では3ヶ月後にSimon効果がさらに大きくなる傾向がみられたのに対して,認知リハビリテーションを実施した群では統計上有意に,Simon効果の減少がみられた点である. 以上の点から,高齢者においても,可塑性の高い抑制機能の存在する可能性が指摘された.来年度はさらに条件を変えて,抑制機能の問題を多角的に検討したい.
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