2004 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの論理をベースにしたカリキュラムによる割合概念に対する教授介入
Project/Area Number |
15530439
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
吉田 甫 立命館大学, 文学部, 教授 (80094085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 祐司 立命館大学, 文学部, 教授 (20202301)
栗山 和広 九州保健福祉大学, 教授 (10170094)
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Keywords | 割合概念 / 概算方略 / 新しいカリキュラム / 学力低下 |
Research Abstract |
本年度は、割合概念に関するこれまでの実績を基にしてカリキュラムを構成して介入研究をおこなった。そのためには、まず子どもがもっているインフォーマルな知識を明らかにし、さらに学習中の認知的障害をもこれまで明らかにしてきた。インフォーマルな知識としては、割合のベースになっている意味や大きさに関して子どもが豊かなインフォーマルな知識を持っていることが明らかになった。そのため、新しいカリキュラムでは、教科書にあるように公式を中心に据えるのではなく、量的表象を形成できるようなカリキュラムとして構成することにした。また、学習中の認知的障害を克服するために、公式は量的表象が獲得されてからその表象を保管するための道具として導入するという内容とした。これらのカリキュラムについては、現場教師と討論を進め、具体的に単元の指導目標および8時間分の指導内容を決定した。これらのカリキュラムを小学校5年生を対象にして導入した。授業者は、担任教師であった。8時間の単元の授業後に、教科書で指導されたクラスとの比較をおこなった。その結果、新しいカリキュラムで指導された子どもでは、公式を使った問題解決では、教科書で教えられた子どもに比べて40%〜80%もの解決を示した。公式を教えられた時間は、教科書でのクラスでは5時間、実験群では2時間であったということを考えると、これは驚異的な結果といえよう。また、子どもが用いた解決方略についても分析を進めた。その結果、教科書のクラスでは公式の利用という単一の方略のみが用いられていたが、新しいカリキュラムのクラスでは公式に加え、見積もり方略という解決に直結している望ましい方略を獲得している子どもが、45%にも達していることが分かった。
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