2005 Fiscal Year Annual Research Report
引きこもり未成年をかかえる保護者のストレス状況の分析と親訓練介入の効果
Project/Area Number |
15530445
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
神村 栄一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 助教授 (80233948)
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Keywords | 引きこもり / 保護者ストレス / 未成年 / 親訓練 |
Research Abstract |
平成17年度中は、3年計画の最終年度として、「非精神障害性の引きこもり未成年」事例の保護者を対象とし、引きこもりによる生活の質の低下状況の改善・解消を目的とする親訓練介入、および保護者自身のストレスマネジメント介入の実施と効果の評価を行った。また、研究報告書を作成した。以下、平成17年度中の研究成果について紹介する。 平成16年度から開始され平成17年度にかけてすすめられた、「非精神障害性のひきこもり未成年」の保護者に対する評価は、(1)保護者自身のストレス状況・反応、(2)保護者の引きこもり未成年に対するかかわりと態度・信念、(3)引きこもり未成年の引きこもりの状態と程度およびストレス状況・反応、という観点から行われた。これらについての介入前調査を経た後、14事例の保護者から、以下から構成される介入プログラムへの参加協力を得た。(1)保護者自身のストレスマネジメント介入、(2)引きこもり未成年の家庭内でのかかわりについての親訓練プログラム、(3)引きこもり未成年への態度や信念に関する心理教育。これらはすべて個別に実施され(4回から8回)、その効果は、介入前と対応した介入後評価によって検討された。 結果から、「引きこもり未成年に対する原因さがし」と「引きこもり未成年の将来への絶望」といった態度・信念が変化することで、保護者の不安が低下する傾向が広く認められたこと、引きこもり未成年との「共同作業を通じてのかかわり」の増加が、家庭内引きこもり傾向の改善や本人および保護者のストレス状況・反応の低減に通行である傾向が伺えた。ただし、保護者の「引きこもりはあってはならないこと」という信念や「本人からの接触回避を促すかかわり」の低減が、引きこもり未成年の家庭内でのストレスの解消を促すという仮説は、もともとそのような傾向を強く有する保護者の参加協力が無かったため、明確には確認できなかった。
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