2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530452
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
杉若 弘子 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (90257171)
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Keywords | セルフ・コントロール / 積極的アプローチ / 抑制的アプローチ / 効果と取り組みやすさ / 実行可能性 |
Research Abstract |
改良型セルフ・コントロールとは、将来の結果を予測して満足遅延することで、より価値ある報酬の獲得を目指す行動プロセスであり、望ましい行動を大いに実行する積極的アプローチと、習慣化した行動を抑制する抑制的アプローチという2方向からのアプローチが可能である。本年度の研究目的は、これら2つのアプローチがどのような状況でより実行されやすいのか、アプローチの方向性と状況を特徴づける要因の対応を明らかにすることであった。大学生182名を対象に、健康管理あるいは単位取得を目的とする状況で改良型セルフ・コントロールに取り組む際に、2方向からのアプローチがそれぞれどの程度効果的であり、取り組みやすいかを評定させた。健康管理のための積極的アプローチには「定期的に運動する」、抑制的アプローチには「外食を減らす」など、単位取得のための積極的アプローチには「出席回数を増やす」、抑制的アプローチには「居眠りしない」など、各々10項目を配した。結果は、次の通りである。(1)単位取得を目指す状況では、効果、取り組みやすさ、実行可能性(効果×取り組みやすさ)のいずれにおいても積極的アプローチは抑制的アプローチより有意に得点が高かった。(2)健康管理を目指す状況では、アプローチ間に効果の有意差はなかったが、取り組みやすさと実行可能性で抑制的アプローチの方が有意に得点が高かった。(3)いずれの状況においても、2つのアプローチの実行可能性は効果より取り組みやすさの影響を強く受けていた。以上より、単位取得のように行動の抑制だけでは目標が達成されにくい状況では積極的アプローチが、健康管理のように2方向からのアプローチに同程度の効果が期待される状況では抑制的アプローチの方が実行されやすいことが分かった。また、その影響度の大きさから、2つのアプローチを活性化するには取り組みやすさに配慮したプログラムが有効であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hiroko Sugiwaka: "Reformative self-control and discounting of reward value by delay or effort"Japanese Psychological Research. 46(1). 1-9 (2004)
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[Publications] Hiroko Sugiwaka: "Redressive self-control : Effects of person and situational variables"Proceedings of International Congress of Psychology. 23(in press). (2004)
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[Publications] 杉若 弘子: "セルフ・コントロールの実験臨床心理学"風間書房. 134 (2003)