2003 Fiscal Year Annual Research Report
広空間布置の刺激呈示環境を用いた色及び輝度システムの相互作用に関する研究
Project/Area Number |
15530466
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川端 康弘 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (30260392)
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Keywords | 広空間布置 / 色処理システム / 輝度処理システム / 相互作用 / 順応レベル / 空間周波数 / コントラスト感度曲線 / 液晶プロジェクター |
Research Abstract |
本研究は、一般の視覚研究に用いられる環境とは異なり、広い空間的布置で刺激が呈示できる環境を構成すること、またその実験環境を用いて色検出系と輝度検出系の相互作用に関する3つの実験を行うことを目的としており、3年度にわたる研究の初年度にあたる。 我々は視覚系全体の時空間的な情報処理過程には、輝度検出機構だけでなく色検出機構の特性が重要な影響を及ぼすことを見いだしてきた。しかしこれらの実験に用いた刺激呈示システムには、色検出系の機能を検討する際に明確な限界があった。つまり広い(大きい)空間布置の刺激を呈示できないことである。色は大局的次元・低周波数域でより機能するようであり、この実験下での検討は人間の色覚モデルを考える上で重要である。この環境はまた他の心理学の実験環境にも援用可能である。 ここではPCとオンボードの画像処理生成装置との組み合わせで処理生成された刺激を、CRTディスプレイの代わりに液晶プロジェクター(MP)によりスクリーンに投影して、大きな空間的布置の実験環境を構成する。MPは最近、光源等の技術革新がめざましく、コントラストや色飽和度の解像度が増し、比較的簡単に空間的、時間的に複雑な刺激を大きなスケールで呈示する実験に利用可能である。 今年度は装置の構成作業と実験1を行った。色システムの順応状態を組織的に変えるため、MPにより呈示される刺激の平均飽和度を様々に設定した。実験では色検出系の空間特性のダイナミックな変化を検討するため、空間的コントラスト感度曲線が等輝度正弦格子刺激の平均色度(飽和度)に依存してどのように変化するかを検討した。この刺激呈示システムの特性から広い布置の低空間周波数の格子刺激を中心にして測定を行うことができ、色飽和度の上昇と伴に感度曲線がローパスからバンドパスに変化し、かつピーク感度が高周波数側にシフトすることが、従来の研究より明確に確認できた。
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[Publications] 川端康弘: "方位と空間周波数に選択的な色順応"日本心理学会第67回大会発表論文集. 566 (2003)
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[Publications] 藤井哲之進, 川端康弘: "色の布置と鮮やかさが情景の再認に及ぼす影響"日本心理学会第67回大会発表論文集. 725 (2003)
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[Publications] 藤井哲之進, 川端康弘: "表示スケールの違いが情景の再認記憶に及ぼす影響"北海道心理学研究. 26号(印刷中). (2004)
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[Publications] 川端康弘, 田山忠行: "色彩と運動の知覚に関する公開実験"日本基礎心理学会2003年度公開シンポジウム資料. 10-11 (2003)