2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530469
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石井 澄 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70092989)
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Keywords | 味覚嫌悪条件づけ / 文脈依存的嫌悪 / 機会設定子 / ラット |
Research Abstract |
本年度は、ラットを用いてある文脈では液体と中毒症状を引き起こす物質(塩化リチウム)とを対呈示し、他の文脈では液体を単独で呈示するという文脈間弁別の手続きによって習得される文脈依存的な味覚嫌悪の成立と、そこで文脈が獲得する機能を規定する可能性のあるいくつかの要因について実験的検討を行ない、以下のような知見を得た。 1.条件づけにおいて明瞭度が比較的低い液体が与えられる場合には、それが新奇(サッカリン)であっても既知(水)であっても文脈依存的な嫌悪は成立し、かつそれは第2の液体(食塩水)にも般化した。 2.同じく液体の明瞭度が小さい水を用いた場合に、ホームケージでも同じ水を与えると文脈依存的な嫌悪の形成は遅延し、またそれは他の液体には般化しなかったが、ホームケージで食塩水を与えた場合に形成された文脈依存的な嫌悪は他の液体(サッカリン)に対しても認められた。 3.液体(蔗糖溶液)の明瞭度(濃度)あるいは文脈間の弁別訓練の各サイクルにおける中性(安全)文脈内での液体呈示の回数に関わらず、文脈依存的な嫌悪は同程度の速度で成立した。だが、第2の液体(食塩水)に対しては、2回のテストの初回のみで文脈依存的な嫌悪が認められ、2回目のテストではいずれの文脈内でも嫌悪は示されなかった。 これらの結果から、文脈依存的な嫌悪は液体および文脈の各々が無条件刺激と直接的に連合し、それらが加算的な効果を示した結果として説明できることが示唆された。
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