2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒューマンエラーに関する情報処理資源と身体反応の要因分析
Project/Area Number |
15530474
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Research Institution | Asia University |
Principal Investigator |
板垣 文彦 亜細亜大学, 国際関係学部, 助教授 (10203077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
依田 麻子 日本大学, 文理学部, 教授 (70200780)
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Keywords | 乱数生成課題 / NIRS / 血圧 |
Research Abstract |
ヒューマンエラー研究の基礎として、個々の人間の情報処理機能のベースラインを計測できる課題が必要である。本研究で利用してきた乱数生成課題はそのベースラインの評価と、様々な内外の刺激によって生じるベースラインからの変動の評価を目的としている。この課題に関しての今年度の成果は2点である。1.自然数系列の増大は数の音韻からその意味を切り出し数表象として更新する機能と解釈されたが、構音の慣れていない英語などの生成条件では特に上昇系列の自然数の生成促進傾向(FC効果)が生じることが示されていた。板垣(2005)は、実験参加者に個人の1回目の課題遂行を基準により速い生成、よりランダムな生成を求め、FC効果は被験者が主観的に感じている時間的圧力の結果、更新機能がステレオタイプ化していることを明らかにした。2.FC効果を個人差として検討できるかどうかについて、これまで1から10であった選択事象数を1から9までに変更して340名のデータを収集して評価軸の再検討を試みた。FC効果は生成速度の要因として認められたが、現在、個人差に関しては英語能力との関連、情報処理負荷の変動に関してはNIRSとの関連から検討している。さらに、依田らは評価が身体的反応に与える影響、という観点から実験を行なった。その結果、非評価課題よりも評価課題遂行時において,血圧,心拍出量およびネガティブ感情が上昇することを確認した。また、課題遂行に際して、自信を失っている状態、すなわちヒューマンエラーが生じやすい場面設定し実験を行なった。具体的には自信を失っている状態を、自己効力感の低下という概念で定義した。実験の結果,他者に評価されたり、自己呈示効力感の低下がもたらされたりすると,主観的なネガティブ感情の上昇,状態不安の増加,平均血圧の上昇,心拍出量の増加および圧反射感度の低下が生じていた。このような、心理・生理的反応状態がヒューマンエラーと関連があることが示唆された。
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Research Products
(6 results)