2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳波によるヒト前頭部行動モニタリング機能の発達・加齢と個人差研究
Project/Area Number |
15530478
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山崎 勝男 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (40084579)
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Keywords | ギャンブル課題 / 刺激前陰性電位 / 情動・動機づけ / 予期・期待 / 脳の活性部位 |
Research Abstract |
近年,情動-動機づけ処理の観点から,前部帯状回(anterior cingulated cortex : ACC)機能への関心が高まっている.本研究では,悪い結果を伝えたときに惹起されるACC由来の前頭内側陰性電位(medial frontal negativity : MFN)について,結果に対する期待の強さとの関連を検討した.最近の理論では,自分の期待に反して結果が悪い場合には,ドーパミン作動系の活動低下によってACCに脱抑制が生じ,MFNを惹起させるという.もしそうならば,フィードバック信号提示前の期待の強さに伴ってMFN振幅は増大することになる.そこで,フィードバック信号に対する期待の強さを反映する刺激前陰性電位(stimulus-preceding negativity : SPN)を測定し,MFNと期待との関連を調べた.実験には単純なギャンブル課題を用いた.画面上に提示される10円と50円の組み合わせから成る選択肢のいずれか一方を選択し,2.5秒後に選択側の視覚刺激が緑色になれば当該金額を受け取れるが,赤色になればその分減額されるという課題だった.実験の結果,50円獲得直後の試行では10円を選択するものの,50円損失後では50円を再び選択するというリスク選択行動が明らかになった.しかしながら,MFNとSPNはリスク選択行動とは合致せず,いずれも50円獲得直後に増大する結果となった.行動と脳活動との乖離は,リスクを選択させる動機づけ過程と,当該試行の結果に対する期待は異なっていたことを示唆している.一方,本研究の予想通り,MFNとSPNは同様の振る舞いを示し,フィードバック信号に関与する情動-動機づけ処理とACCとの関連性を明確にすることができた
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