2004 Fiscal Year Annual Research Report
イギリスにおける学校評価の組織・構造に関する実証的研究
Project/Area Number |
15530527
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
高妻 紳二郎 九州産業大学, 国際文化学部, 助教授 (20205339)
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Keywords | 学校評価 / インスペクター / 視学制度 |
Research Abstract |
平成15年度に引き続き、学校評価に関する諸資料の分析及びイギリス国内の実地調査を実施した。その結果、以下のような知見を得た。 1.ナショナル・カリキュラムによって全国一律のシステムが定められる一方で、各学校では教育目標はもとより、教科に関する具体的な「到達目標(attainment goals)」を教員による協議を経て設定し、学年の枠を超えて共有していることが特徴的である。 2.その到達目標を達成するために不可欠なことと考えられているのが授業の質の向上をいかに実現するかということであり、教師がいかなる指導上の配慮を行ったかを日常的に記録する事例もみられる。その際、若手とベテランの組み合わせによる幾層もの評価組織を考案し、同僚による評価も組み込む等の工夫もみられる。 3.学校の自己評価については、以下の諸点を明らかにした。第一に、校長や主任などの管理層を中心とし、例えば学校ごとに「戦略策定・開発チーム(Strategic Development Team)」を編成し、学習や授業のパフォーマンスを毎週チェックすること、かつ、その評価結果を教員が共有し、日常的な自己評価に継続して取り組んでいること、第二に、学校理事者やLEA代表等第三者を含む「学校改善チーム(School Improvement Team)」を編成し、生徒の成績の向上度の把握に努め、学校外における学習機会の確保と新しい試みを導入するための環境整備を実施していること、第三に、職員会議(Staff Meeting)に全教員が参加することはもとより、学習サポーター(主に保護者)も加わり、学校の方針、組織、運営の方法などについて定期的かつ継続的に開催していること。
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