2005 Fiscal Year Annual Research Report
イギリスにおける学校評価の組織・構造に関する実証的研究
Project/Area Number |
15530527
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
高妻 紳二郎 九州産業大学, 国際文化学部, 助教授 (20205339)
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Keywords | 学校評価 / インスペクター / 視学制度 |
Research Abstract |
2005年4月、主として学校査察制度の改訂を柱とする教育法(Education Act 2005)が制定された。ここでは費用対効果の向上が強く意識され、(Her Majesty's Chief Inspector : HMCI)に権限を集約し、学校改善に資する大臣への助言の提供を主要な目的とする活動に従事することになるなどの制度的改変が加えられた。それを受けて教育水準局(Ofsted)が実施する学校評価も新たな局面を迎え、業務の簡素化と効率化が意図されている。本年度には2004年9月から導入されていた試行(pilot inspection)が、おおむね学校からの支持を集めているとともに、2006年2月に実際の新しいシステムにおける査察を経験した学校の反応も良好になったことを明らかにした。HMCIであるベル(David Bell)やスミス(Maurice Smith)もかかる変化を歓迎し、査察に伴うストレスやコストのロスが軽減されて視学官からのフィードバックも好評であることを新しい「不意打ちモデル(no notice model/snapshot)」を導入したことによる成果であると認識しているなど、こうした新しい査察制度が概ね順調な滑り出しを見せていることを明らかにした。 このようにまだ間もない時期であるものの、今日のイギリスの学校には評価結果を受けて学校改善に直結する計画の立案とその速やかな実施が求められており、いわばその出来不出来が予算確保にも関連して学校経営全般に影響を及ぼしている。ナショナル・カリキュラムを基準としての児童生徒の達成度評価、学校改善に向けてのパフォーマンス・マネジメントにみられる自己評価と同僚評価、Ofsted認証機関による定期集中評価の三相構造が今日的特徴であることを指摘した。
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