2005 Fiscal Year Annual Research Report
メキシコにおける住民の教育要求と教育政策の転換に関する研究
Project/Area Number |
15530543
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
青木 利夫 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40304365)
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Keywords | メキシコ / 学校 / 教育史 / 教育要求 / 教育政策 / 社会史 |
Research Abstract |
本年度も、メキシコ教育省歴史文書館を中心に、20世紀前半の学校教育に関する史料の調査・収集をおこなった。とくに、メキシコ連邦区(メキシコ・シティ)初等学校局に分類されている資料を重点的に調査した。この調査においては、民間主導で設置された小学校が教育省の認可を得るために提出された申請書類や、認可に関わる教育省のさまざまな文書を入手することができた。それらの資料からは、民間による小学校の設置主体が個人または団体の場合があるように推測されるが、具体的にどのような人々が主体となったのかその詳細は不明であった。しかし、膨大な数の新規あるいは更新の申請書が保存されていることから考えても、都市部の学校教育における民間の積極的な関与が明らかとなった。一方、教育省はそれぞれの申請に対し、視学官の派遣などを通じて教員や施設などの調査をおこない、適正と認められるものには認可を与え、それによって学校数を増やしていった。農村地域の学校に関する文書と比較して、都市部の住民による請願は調査した限りでは少なく、住民による文書は、おもに、子どもの通う学校に対する不満であった。限られた調査であるため、入手した資料から、都市部と農村部におけるより詳細な住民の教育要求の違いはみえてこないものの、学校教育に対する住民の考え方、学校や教師に求める役割など、広い意味での教育要求についてはその違いがわずかながら明らかとなってきた。こうした一次史料にもとづく分析を通じて得られた成果を、すでに発表した論文とあわせて最終報告書としてまとめる予定である。 また、メキシコ教育史の基礎資料として、現行憲法のもととなっている1917年憲法から現在にいたるまでの憲法のうち教育の基本を定めた第3条の変遷、20世紀前半の教育に関するデータを整理し、入手した一次史料の一部の翻訳とあわせて報告書に添付する。
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Research Products
(1 results)